ドイツ銀行は9月9日、情報研究所「The Hive」の開設を公表した。アイルランドの首都、ダブリンを拠点に、最新のテクノロジーを屈指した銀行向けのデータサービスを提供する。

しかしハブの設立によって新たな雇用口が創出される一方で、3万人の大型人員整理が実施されるなど、ここでもコスト削減を目的とした新旧システムの総入れ替えが進行中だ。

税優遇措置が目的でアイルランドに開設?

独創性あふれるあるスタートアップの登場とともに、欧州FinTech国として頭角を現し始めたドイツ。基盤がEU離脱決定で基盤のゆるんだ英国を、ここにきて一気に追い抜かんばかりの勢いだ。

政府や企業による大盤振る舞いの支援に陰りが見え始めた英国とは対照的に、国内最大規模のドイツ銀行がFinTech促進に本腰をいれた今、飛躍的な伸びが期待される。

The Hiveの開設にあたり、新たに40人のスタッフが新たに雇用されるほか、ダブリンでは125人の技術者の雇用を予定している。

キム・ハモンドCOOは、「情報研究所が顧客へ理解を深め、よりよいサービスの提供に貢献する」と期待をあらわにするコメントを発表。

自国ではなくアイルランドに拠点を置いた理由としては、多国籍企業向けの税優遇措置が目的かと思われる。

「税金天国」として世界各国の企業を誘引することで経済成長を遂げたアイルランドだが、国際的な非難が頂点に達したことから、2015年以降は制度を廃止している。

しかしこの制度廃止には「新規設立企業にのみ適用される」という抜け道があるため、1991年からアイルランドに海外支社を設けていたドイツ銀行には、適用されないのではないかと推測される。

またあくまで研究所という形態をとるため「研究開発税制」を含め、一般企業に適用される規制も異なるなど、何かと自国よりも便宜がよいのだろう。

ドイツ銀行では大胆な組織改革が2017年の完了を目途に行われており、2015年には管理部門とIT部門を中心とした3万人のリストラが決定している。

デジタル化による大幅なコスト削減は、近年多数の大手企業に見られる風潮だが、利便性向上のうらでは、収入源を失う不安との板挟みになった従業員という犠牲が生まれている。( FinTech online編集部

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