特に欧米で大人気のコンタクトレスカードだが、紛失・盗難届けをだしたあとも、相当長い期間「アクティブ(使用可能)」であることが、英国の消費者の訴えから明らかになった。
原因に関する公のコメントは発表されていないが、銀行を通して正式な利用停止手続きを行っていても、コンタクトレスカードのシステム上、「オフライン(インターネットに接続されていない状態)ならば、通常通りの決済が可能」という説が飛びだし、消費者の間で不信感が高まりつつある。
UKカード協会「コンタクトレスカードの不正利用被害はまれ」?
消費者からの投書で調査を行った英金融情報サイト「moneysavingexprt.com(MSE) 」によると、2015年11月に盗難届けをだし利用停止となっていたはずのカードが、8カ月後も不正利用されていたという。
つまり盗難カードとして半年以上前に記録されていたにも関わらず、再度不正に利用できる状態だったということになる。このケースでは銀行明細をチェックしていた被害者が身に覚えのない引き落としを不審に思い、銀行に連絡したことで発覚した。
裏を返せば銀行明細に目を通していなければ、そのまま不正利用が続いていたはずだ。消費者の心理としては、一度盗難届をだしたカードが再度盗難の被害にあうとは、考えにくいため、発覚が遅れるケースも多いだろう。
MSEはコンタクトレス決済に関する銀行のシステムの脆弱性を指摘し、「銀行には不正利用に対する確固たる対応策がない」と手厳しく追及している。
MSE独自の調査からは、現在銀行が一般的に用いている対応策があくまで「受け身」であり、せいぜい不審な取引に対する警告を発する程度で、多くのケースでは被害者の届け出があってから初めて動くことから、「防止策にはつながっていない」としている。
これに対しUKカード協会(UK Cards Association)は、「コンタクトレスカードを利用した不正利用は極めてまれだ」と反論。
しかし筆者自身も銀行系コンタクトレスカードの被害を数カ月前に経験しており、届けでた際に銀行も急増中であることを認めていたため、UKカード協会のコメントには同意しかねる。
また筆者の被害ケースも、銀行の直結システムを通さないオフラインでの不正利用であった。
システムの盲点の解決なくして、コンタクトレス決済の促進はあり得ないという点を、銀行やカード関連企業は十分肝に銘じておくべきだ。
それと同時に消費者側も普段から明細書に目を通す習慣をつけるなど、被害を最小限にとどめる努力は不可欠である。( FinTech online編集部 )
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