インド一の大富豪として知られるムケシュ・アムバニ氏が200億ドル(約2兆530億円)を投じて、10億人が期間限定で利用できる無料4Gサービス「Jio」の提供を開始した。

インド全土に10万塔の通信タワーを建設し、2017年までにインドの9割の消費者にサービスを普及させることを目標としている。

無料サービスは今年一杯で打ちきられる予定だが、その後も月間利用料は149ルピー(約229円)からと、格安のサービスになる。

Google、Facebookなどの国際大手もインド市場に注目

米CNNの取材に応じたアムバニ氏によると、ネットワークはすでに都市部では1万8000世帯、農村部では20万世帯をカバーしており、サービスは9月5日から開始されている。

公共のインターネット開発が遅れているインドでは、一般消費者が利用可能なWiFiポイントが極端に少なく、インターネットの接続状況も安定していない。特に過疎地での高速インターネット利用は皆無に近いうえに料金も高く、普及率はわずか2割だという。

アムバニ氏の試みはこうしたインドのインターネット環境を著しく改善するもので、当然ながら国民に大歓迎されているそうだ。

6日に首都、ニューデリーで実施された通信速度テストでは、1秒間21メガバイトと文句のつけようがない速度を記録している。

インドにおけるインターネット市場拡大の可能性に着眼しているのは、欧米のIT関連大手も同じで、Googleが電車の駅に無料WiFiポイントを設置したほか、Facebookも無料プラットフォームを提供を申しでたという。

アムバニ氏の資産総額は193億ドル(約1兆9811億円/2016年9月現在)。米フォーブス誌の世界長者番付では36位、自国では最も裕福な実業家として知名度が高い。

ムンバイ州に本社をかまえる天然資源開発企業、リライアンス・インダストリーズで富を築いたが、その後バイオ技術などにも事業を枝分かれさせ、現在はインド屈指のコングロマリットに成長させた。

アムバニ氏の新たな事業が、インドの巨大インターネット市場を活性化させることは疑う余地がないだろう。普及が本格化するにつれ、スマートフォンやタブレットを含むデバイスから、IoTなどにも市場が拡大していくはずだ。(ZUU online 編集部)

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