今後数カ月から2017年末にかけて、「エクイティとトレード部門が最もリストラされる可能性が高い」との見解を、英金融キャリアサイト、eファイナンス・キャリアズのアナリストが示している。
長年安泰とされていたエクイティ部門だが、大手企業を筆頭に縮小が開始されていることから、投資ファンドやプライベート・エクイティ部門に勤務する従業員にとっては、回復が期待されている2018年ころまで、試練の時となりそうだ。
クレディ・スイスなどの大手企業は人員整理で対処
2016年上半期のエクイティとトレードによる収益は、前年から18%減。エクイティ・ファイナンス(EMC)にかぎっては52%(20億ドル/約2053億円)減と、過去5年間で最低水準までも落ちこんでいる。
キャッシュ・エクイティ(株式取引)で比較的順調なのは、米国市場のみ。EMEA(欧州、中東、アフリカ)やアジア圏では低迷が目立ち、5年前には77億ドル(約7904億500万円)だった収益が51億ドル(約5235億1500万円)まで減ってしまった。
こうした不況風を受け、多くの企業が部門縮小を検討するのも無理はない。一例をあげると今年5月には、クレディ・スイスがロンドンのエクイティ部門から50人をリストラ。さらなる人員整理の予定があることを公にしている。
モルガン・スタンレーは昨年末、トレード部門で100人の総入れ替えを実施。シティ・グループも欧州のエクイティ部門で、一時的に人員数を減らした。
モルガン、シティともに第2四半期のエクイティ収益が4%から9%落ちこんでいるが、英バークレイズ銀行、ドイツ銀行にいたっては31%、HSBCは46%も減益している。
収益が減れば生産能力にマイナス作用が働く。その結果、さらに事業を縮小せざるを得ないという悪循環に陥りやすい。実際、英市場分析企業、Coalitionが発表した第1四半期の「生産性指数」などでも、エクイティの失速が目立つ。
米エクイティ調査企業、Bernsteinは、こうした状況が少なくとも今年いっぱいは継続すると見ており、来年からは多少回復の兆しが見えはじめるものの、本格的に再燃するのは2018年以降になると予測している。
それまでにどれほどの規模の事業縮小が実施されるのか、既存の従業員にとっても、新たにエクイティ部門への就職を目指す新卒生にとっても、先行きの予想しにくい時期だと、eファイナンスは結論づけている。( FinTech online編集部 )
【編集部のオススメ FinTech online記事 】
・
金融業界のビジネスパーソンはFinTechの進行に危機感を持たなければならない
・
就職先選びは慎重に?相次ぐシリコンバレーの「ブラック企業」
・
ロボアドサービスのウェルスナビ「より使いやすい見た目や操作感取り入れられるエンジニアを」
・
Brexitで銀行が新卒離れ?採用率が過去最低水準に
・
「UKの銀行で出世できるのは上位中流階級のみ」5割が私立校出身