米自動車メーカー、フォードは9月14日、国内の小型車の生産を、全面的にメキシコへ移転させる計画を正式に発表した。これによってメキシコで、2800件の新雇用口が創出されることになる。

米国では近年小型車人気が低迷していることもあり、労働コストの低いメキシコに新工場を開設する自動車メーカーが年々増えている。メキシコ経済の促進には大いに貢献している反面、米国内の雇用縮小を懸念する声もあがっている。

ホンダ、日産、トヨタなども続々メキシコ生産を拡大

ミシガン州ディアボーンで開催された株主総会で、マーク・フィールズCEOが自ら、今回の決定について発表した。

今後数年間かけて米国内でのフォード小型車の生産を廃止し、拠点をメキシコ置くことで、大幅なコスト削減を図る意図がある。

フォードは2015年からフォーカスやシーマックスといった小型車生産移転計画に向け、ミシガン工場でも生産打ちきりを決定するなど、着実に準備を進めていた。

今年4月には16億ドル(約1629億4400万円)を投じたメキシコ工場の新設を発表し、本格的な生産拠点移動の秒読み段階にはいった気配が濃厚だったため、フィールズCEOの発表に対してはそれほど大きな反応は見られない。

しかし一方では自国での雇用口をメキシコ、台湾、タイといった新興国に流出させる企業の方針に、米大統領選候補、ドナルド・トランプ氏などから非難の声が集中している。

大のメキシコ反派として有名なトランプ氏は、「メキシコはメキシコ人の労働者を雇い、メキシコ内で生産した車を他国に販売すればいい」と、怒りをあらわにしている。

これに対してフォードは「米経済の発展に十分に貢献している」とアピール。確かに昨年だけを見ても、90億ドル(約9165億6000万円)を投じて米生産事業部門を強化し、その5割に値するミシガン州の生産施設に費やしたほか、米国内で8500件の雇用口を創出するなど、フォードの米経済への貢献度は非常に高い。

また大手企業が新興国の労働力をコスト削減に利用するという流れは、けっして目新しいものでもない。自動車メーカーだけでも、フォルクスワーゲン、ホンダ、日産、トヨタ、ジェネラル・モーターズなども、同様の移転あるいは拡大計画の意向を示している。

米自動車市場調査会社、センター・フォー・オートモーティブ・リサーチのデータによると、移転地として最も人気のメキシコでは、2008年から2015年にかけて自動車産業の雇用口が4割跳ねあがり、90万件に達したという。

海外生産移転にともなうメリットとデメリットのバランスをうまく調節することが、長期的な経済強化につながるだろう。(ZUU online 編集部)

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