中国のテンセントや台湾のフォックスコンといったテクノロジー大手が、インドのメッセンジャーアプリ「Hike」に14億ドル(約1431億9200万円)を投資じ、強力なバックアップを開始する。

中国発の巨大メッセンジャーアプリ「WeChat」を生み出したテンセントにとっては、二度目のインド市場への挑戦となる。今回はインド国内ですでに知名度の高い「Hike」に便乗するかたちで、新たな切り口から攻めこむ戦略のようだ。

ソフトバンクが共同設立したBharti Softbankなども出資

スマートフォンの普及が急激に進むインドでは、昨年の出荷台数が1億を突破。低迷する他国のスマホ市場に代わる新開拓地として、世界中のテクノロジー企業が進出に興味を示している。

スマホの歴史が浅いだけに、ユーザーは増えてもインターネット・データプランやアプリという点では未開拓地に近い。

ドイツの統計ポータルサイト、スタティスタが発表した2014から2016年のデータでは、インドにおける「WhatsApp」のユーザー数は10億人、「Hike」は1億人、「LINE」は3000万人まで上昇しているが、メッセンジャーアプリの選択肢自体が少なく、それゆえに既存のブランドがさらに勢力を拡大するチャンスにあふれた環境といえる。

2012年にスタートしたHikeは、ユーザー数では「WhatsApp」に次いで2位にあまんじているものの、毎月400億件のメッセージを処理するインド国内最大規模のメッセンジャーブランドに成長。

サービス開始にあたり、インドのコングロマリット、Bharti Enterprisesと日本のソフトバンクが共同設立したBharti Softbankや、米投資会社、タイガー・グローバル・マネージメントなどが出資している。

メッセージ、通話、ゲームなど、提供しているサービスは従来のメッセンジャーアプリと似たりよったりだが、「WeChat」で中国を制覇したテンセントの支援を受けることで、将来的には「WhatsApp」をおびやかすメガアプリとなる可能性も高い。

また国際大手電子機器メーカー、フォックスコンの影響力にも期待がもてる。サービス面の向上以外にも、テンセント、フォックスコン、Hike間で、共同研究・開発が可能になるるなど、非常に利益の多い提携関係となりそうだ。

テンセントは過去にも「WeChat」でインド市場への進出を試みたが、需要が伸び悩み失敗に終わっている。今回は「Hike」を後押しすることで、見事野望を果たせるのだろうか。( FinTech online編集部

【編集部のオススメ FinTech online記事 】
金融業界のビジネスパーソンはFinTechの進行に危機感を持たなければならない
「フィンテックは必ずしもハイテクばかりではない」みずほFG 山田執行役常務・CDIO
freee「本質的で価値あるものを生み出し、社会に、業界にインパクトを与える仕事を」
Googleが金融情報サイト「Bharat Saves」でインドに進出
新たな革命ハブ設立で「世界一のFinTechブランド」にーー香港