景気が足踏みをし始めると、最初に財布の紐が固くなりがちになるのが外食だろう。飲み会の回数を減らしたり、レストランでのランチからお弁当持参に切り替えたりするパターンが見られる。
そんな状況で、外食の強い味方となるのがファースフード。手早く済ませる昼食や、週末の家族での団らんとして利用するケースも多い。デフレの足音が迫りつつあるなか、業界の現状はどのようになっているのか。
マック復活なるか?
業界最大手の日本マクドナルドホールディングス <2702> が息の根を吹き返している。 2014年の賞味期限切れの鶏肉使用や、2015年の異物混入の不祥事を受けて、顧客離れが深刻化。2015年12月期には、349億5100万円という上場以来最悪の赤字を記録した。家族連れが多い利用客に対して、食の安全・安心を提供できなかったしっぺ返しの結果となった。
これを受け、同社は「すべてをお客様のために」という理念を掲げ、食の安全・安心を最優先課題として、サプライヤーへの品質管理の強化、店舗内の従業員の再トレーニング、商品に関する情報開示などに取り組んだ。
徐々に客足も戻り、直近の2016年12月期第2四半期決算では、売上高が前年同期比23.0%増の1048億9300万円、純利益は同262億2000万円の赤字から1億5800万円の黒字へと転換した。それでも2012年同期には70億円を超える純利益を出していた頃の勢いからすると、まだまだ道半ばだ。
原材料の多くを輸入に頼るマクドナルドにとっては、円高という環境が業績にプラスに働き、今後のさらなる業績回復に期待がかかる。
8月には1ドル=100円を切る水準まで円高が進行したが、マクドナルドでは輸入代理店を経由して為替予約による変動リスクを回避しており、円高が即座に業績を押し上げるという状況ではない。さらに、不祥事の反省から、品質管理へのコストの負担もあり、円高のメリットを最大限に享受できるというわけではなさそうだ。
一方で、政府・日銀が掲げた2%の物価上昇の目標が遠のき、消費者の間でデフレマインドが広がりつつあるなか、200円のバーガー、150円のサイドメニュー、100円デザート・ドリンクなどを揃えた「おてごろマック」メニューを提供。
このメニューに加わったチキンチーズーバーガーが累計販売5000万食を突破するなど人気を呼んでいる。この数字からも消費者の安さを求める傾向が強まっており、こうしたトレンドを的確にとらえたメニューを展開していけば、先行きの見通しも明るくなっていくだろう。