パズドラの成熟で業績も伸び悩む
ガンホーの株価急騰の背景にはパズドラのヒットによる業績拡大はもちろん、資本政策も大きく寄与した。
2013年2月には好決算(2012年)とともに株式の10分割を発表。4月にはソフトバンクが、TOBでガンホーを持ち分法適用会社から連結子会社にした。同5月にもまた2013年第1四半期の好決算と10分割を発表している。
ちなみに、ガンホー株は2005年に1株を5株に分割しているほか、前述の通り2013年には10分割を2回、2014年にも100分割を実施している。上場時に1株購入し、保有し続けていた人は5万株の株主になっている計算だ。このような資本政策は、ITバブル時代の堀江貴文氏のライブドアと重なる。
しかし、ガンホーの業績は2014年をピークに伸び悩んでいる。パズドラの成熟による課金収入の減少が影響していると見られる。それにともない株価も下げトレンドを描いているのが現状だ。
ガンホーは、海外企業のスマホゲームを配信するパブリッシング事業に参入するなど、パズドラの減収を補う戦略を打ち出してはいるが、まだまだ埋めきるところまではいかない。
なお、2016年7月に同社はソフトバンクの連結対象から外れることになる。ソフトバンクグループは保有するガンホー株の約9割を、ガンホーが実施するTOBに応募した。ソフトバンクの保有比率は28.41%から3.80%に縮小し、ガンホーは持ち分法適用会社から外れることになった。ソフトバンクは、売却の理由等に関して正式なコメントはしていない。
ガンホーは割安といえるのか?
ガンホーの今上期(1〜6月)の決算では、売上25%減の614億円、営業利益は35%減の266億円と減速が続いている。同社は 今期の会社予想の業績を発表していない。予想ベースではないが前期実績ベースのPERは5.8倍だ。ガンホーは割安なのだろうか。
ゲーム業界大手の任天堂 <7974> のPERは93.3倍、同社のスマホ化で協業するディー・エヌ・エー <2432> は実績ベースのPERで47.7倍と売上ミックスの良い会社のPERは高めである。
一方で、ガンホーと同様に「一つのゲーム」に業績が左右さやすい企業のPERは低めである。『モンスト』のmixi <2121> のPERは5.4倍、『魔法使いと黒猫のウィズ』のコロプラ <3668> は10.6倍だ。
ガンホーの盛衰をみていると株式市場のダイナミズムが良く分かる。「一つのゲーム」のヒットで業績は好転し、株式市場は熱狂的な人気となるが、反動の冷え込みも大きい。かつてのパズドラのように、割安株から脱するためには新たなメガヒットが必要だろう。(ZUU online 編集部)