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(写真=PIXTA)

知る人ぞ知る、高利回りの積立手段が存在している。それが「百貨店友の会」と呼ばれるものだ。2016年の年初にマイナス金利が導入されたことも影響して、預貯金などの金融商品が軒並み超低金利となっているのとは対照的にその驚くべき利回りが注目されている。

百貨店友の会は、主要百貨店が各々で提供しているサービスである。毎月1万円ずつ積み立てると、1年後には積立額の12万円に1万円が上乗せされた13万円相当の買い物券 (プリペイドカードや磁気テープ方式の買い物カードなど) が得られるという仕組みである。なお、積立額は月額5000円程度から、1万円、3万円など百貨店によって異なるため、申込前に調べていただきたい。以下では、月額1万円を積み立てた場合のメリットを見ていこう。

百貨店友の会「利回りは8.3%以上」 本当の利回り

単純に12万円の元手で1万円の利益が出ると解釈すれば、その利回りは「1万円÷12万円=8.3%」という計算になる。だが、最後の月の積立額はわずか1カ月の運用期間に過ぎず、最初の回を除けばいずれの月も1年に満たない運用期間となっている。

そこで、そういった点も反映するために平均の運用期間 (月数) を算出すると6.5カ月となる ({12ヶ月+11ヶ月+10ヶ月…+3ヶ月+2ヶ月+1ヶ月}÷12=6.5ヶ月) 。この6.5カ月の間に積み立てた総額は6.5万円という計算になる。

つまり、6.5万円の積み立てで1万円の利益が得られることになるので、「1万円÷6.5万円=約15.3%」が実質的な利回りなのである。もはや預貯金では到底得られない数字であるだけに、密かに人気を博すのは当然のことだろう。

百貨店友の会 メリットの大きさは人それぞれ

ただし、注意すべき点もいくつかある。まず、1年後に手に入る買い物券はその百貨店でしか使用できないのが原則だ。「金券ショップで売れば現金化できるのでは?」と考えた人がいるかもしれないが、それは不可能だと思ったほうがいい。なぜなら、通常の商品券などとは異なっており、買い取りに応じる金券ショップは皆無と思われるからだ。

どれだけ高利回りであっても、その百貨店で13万円分の買い物をする必要がなければ、いわば“絵に描いた餅”のようなもの。「せっかくだから……」と特に必要もない商品に手を出すのは本末転倒であるし、百貨店側もそういった消費行動に期待して1万円のボーナスを進呈しているのだ。

そもそも百貨店の商品は、バーゲンセールを除けば定価販売が基本となっている。また、買い物券を使用できる範囲にも制限が設けられており、バーゲン品や一部のブランドショップが対象外となっているケースもある。

加えて、その百貨店が経営破綻してしまった場合にダメージを被る可能性も念頭に置くべきだろう。あくまで「百貨店友の会」は金融商品ではなく、破綻に備えて法的に保全が義務づけられているのは、前受金残高の2分の1相当額にすぎない。

最低限これらの注意点を踏まえたうえで利用を検討するのが大前提となってくるだろう。利殖の対象として注目するのは慎重になったほうが良いと言えるだろう。

日頃から百貨店を利用する人には使い勝手が良い

とはいえ、日頃から特定の百貨店でよく買い物をしているという人なら、大きなメリットを享受できることも確かだ。預金の利子や株式の配当には税金がかかるが、百貨店友の会の積み立ては金融商品ではないため、ボーナスの1万円分から所得税が差し引かれることもない。

また、他にも「友の会」の会員向けに様々な特典を用意している百貨店も多い。それらが自分にメリットをもたらす内容であれば、利用してみる価値があると言えるかもしれない。

百貨店との接点がそれなりにある人なら、先で触れた注意点をきちんと認識したうえで詳しい説明を聞いてみるのも一考だ。

(提供: 大和ネクスト銀行

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