中華全国新聞工作者協会・第9回理事会第1回会議は「中国新聞賞」という賞を設定した。11月7日、北京においてその授賞式が開催され、中共中央総書記、国家主席、中央軍委主席・習近平は、理事会代表と受賞者代表に会見するとともに、重要講話を発表した。
中国のマスコミは誰に何を期待されているのだろうか。おおむね想像はつくとはいえ、以下その内容を追ってみよう。
党中央は新聞の世論工作を期待
党の世論工作を正しく実行し、良好な世論環境を保持すること。これこそ国の安定の大事である。したがって党はメディアに対し、正しい行動規範を求める。中央の主要メディアと各級メディアは、党と人民のため、さらなる大きな貢献を期待されている。
党の新聞としての世論工作は重要だ。その中心はそれぞれの歴史時期における革命建設と改革である。「新聞世論戦線」は、党と人民の呼吸とともにある。さらに時代とともに進歩し、積極的に党の宣伝を主張しよう。群衆の声を深く反映させ、調査・研究にも注力し十分にその力を発揮しよう。
新聞世論戦線の主旋律を唱和
第18回党大会(2012年11月)以来、「新聞世論戦線」では、中央の決定と各部署の要求を貫徹させている。18回党大会と、三中、四中、五中、六中全会の精神宣伝についても突出した貢献をしている。さらにこれら5つの大会精神を全面反映した“五位一体”を推進していこう。
全体を周知させ、四個全面(全面建成小康社会、全面深化改革、全面依法治国、全面従厳治党)戦略を効果的に展開しよう。幹部群衆の中にに深く入り、団結奮闘精神の風貌を描く。主旋律を唱和し、全党全国各族人民の団結奮闘の心とパワーを全開しよう。
政治の方向、マルクス主義新聞観を正確に堅持し、党と人民の立場を堅守しよう。正確な世論を導くことを堅持しよう。党の理論と路線、方針、政策を宣伝しよう。“両個一百年(2021年共産党成立100年に全面建成小康社会、2049年新中国成立100年に富強、民主、文明、和諧の社会主義現代化国家を目指す)”の奮闘目標を各族人民のため実現しよう。業務の水準を引き上げ、正しい新聞の方向を堅持しよう。正確な仕事を堅持し、党と人民の信頼する新聞従事者になろう。
指導的人民団体としてのマスコミ
最後に中国記者協会は、党の指導的人民団体であるとして、党と政府と新聞界の関係は、橋梁と紐帯(ちゅうたい)である、政治性、先進性、群集性をさらに増強しよう、と締めくくっている。
つまり改めて党の宣伝機関としての使命を全うするよう、要求しているのだ。現政権は、共産党体制の崩壊への危機感を強く持っている。あらゆる政策は現体制の安全に利するためのものだ。常にその意をくんで宣伝に努めなさいということである。そのためには事実報道にこだわる必要も、国民の知る権利を考慮する必要もない。
地方の現場記者たちは、市民の困惑している問題を取り上げ、解決しようと真剣に取材活動に取り組んでいる。
しかしそれらを掲載、放送するかどうか決めるのは党員幹部である。これを正しく処理することが彼らの“政治”ということだ。
これらの宣伝と情報の取捨選択について、批判はいくらでも可能である。しかし世界では、自由な取材活動をしていても、自律的に政権宣伝を強めてしまうケースもある。この“重要講話”は表現の自由とマスコミについて思考をめぐらす教材として使えそうである。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)
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