結果の概要:住宅着工・許可件数ともに予想から上振れ
11月17日、米国センサス局は10月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は132.3万件(前月改定値:105.4万件)と前月から増加、市場予想の115.6万件(Bloomberg集計の中央値、以下同様)も大幅に上回った(図表1、図表3)。件数としては07年8月の133万戸に次ぐ水準となった。
住宅着工に先行する住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は、122.9万件(前月:122.5万件)と、減少を見込んだ市場予想の119.3万件に反し、前月から小幅ながら増加した(図表2、図表5)。
結果の評価:住宅着工許可件数は10-12月期の住宅市場の回復を示唆
10月の住宅着工件数の伸びは、前月比+25.5%(前月:▲9.5%)と15年4月(+23.7%)以来の水準に加速したほか、前年同月比も+23.3%(前月:▲11.4%)とこちらも16年2月(+35.8%)に次ぐ伸びとなった(図表3)。
住宅着工件数(前月比)を、戸建てと集合住宅に分けてみると、戸建てが+10.7%(前月:+8.4%)と前月から伸びが加速したほか、集合住宅が+68.8%(前月:▲38.9%)と前月の大幅な落ち込みの反動もあり、11年1月(+81.8%)に次ぐ大幅な伸びとなった(図表4)。
住宅着工件数(前月比)の地域別寄与度は、北東部+4.1%ポイント(前月:▲3.3%ポイント)、中西部+6.4%ポイント(前月:▲1.4%ポイント)、南部+8.9%ポイント(前月:▲3.0%ポイント)、西部+6.2%ポイント(前月:▲1.8%ポイント)と全ての地域でマイナスとなった前月の反動もあり、全ての地域でプラス寄与に転じた。
住宅着工件数の先行指標である住宅着工許可件数は、10月の前月比が+0.3%(前月:+6.3%)と3ヵ月連続のプラスとなった。また、前年同月比も+4.6%(前月:+8.5%)と2ヵ月連続でプラスを維持した(図表5)。
許可件数を戸建て、集合住宅でみると、戸建ては前月比+2.7%(前月+0.8%)と3ヵ月連続のプラスとなったものの、集合住宅は▲3.3%(前月:+16.1%)と2桁の伸びとなった前月の反動もあり、マイナスに転じた(図表6)。
最後に、単月の変動を均すため許可件数の3ヵ月移動平均3ヵ月前比をみると、10月は+21.7%と2桁の大幅な伸びとなっているため、GDPにおける10-12月期の住宅投資は、3期ぶりにプラスに転じる可能性が高まったと言えよう。
窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部
主任研究員
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