女性リーダー,ホンネとリアル,座談会
(写真=The 21 online)

現役女性リーダーがホンネで語る「私たちの働き方、そして悩み」

女性リーダーが増えつつある日本の企業。実際、リーダーを任された女性たちは、日々何を思い、どのように働いているのだろう。現役女性リーダーとして活躍する3名に話をうかがい、さらに女性リーダーが心得るべきポイントを、リーダー育成や女性活躍推進に詳しい[株]プラウド社長・山本幸美氏に解説していただいた。

【座談会参加者】

Mさん :外資系保険会社勤務。30代前半。独身。入社6年目。今年3月に管理職になる。部下は男性6名、女性1名。

Rさん :ITベンチャー勤務。30代前半。独身。入社10年目。2013年にマネージャー、今年2月に部長代理になる。部下は男性7名、女性1名。

Kさん :テレビ局勤務。30代後半。独身、子供あり。入社12年目。今年2月より、管理職と現場の調整を図るデスクに。部下ではないが、指示対象は7、8名

年上部下や年齢の離れた部下に、仕事をどう頼む?

みなさん、女性リーダーとして第一線で活躍されていますが、部下に対して困っていることはありますか?

Mさん 私のチームは、20代から40代後半まで年齢はさまざまですが、みんなそれぞれタイプが違うので誰かに困っているということはありません。

ただ、みんなの意見をうまくまとめようとすると会議が炎上したりする。最近は年上の部下には“相談モード”で事前に根回しすることを覚えました(※1)。新しいことを打ち出すときなど、「これはどう思うか」と事前に聞いておくことで会議がスムーズに運ぶようになりました。

Rさん うちはITベンチャーで、平均年齢が30代中頃。みんな年齢が近いからこそケンカみたいになることもあります。とくに、歳が近い男性は、私が表現する言葉と、彼らがとらえる意味に温度差ができることがあって……。だから私の場合、指示やヒアリングは、彼らと息の合う男性マネージャーを通すことにしました。私は、たまにほめたり、ダメだなと思うときに釘を刺す程度。リーダーだからといってすべて自分でやろうとせず、うまく人を介して意思疎通を図るようにしています(※2)。

Kさん みなさん、すごい! 私は番組制作のデスクという立場で、年上の先輩方に雑用的な仕事を頼まなくてはならないことがあります。最初はどう頼んでいいかわからなくて、自分で抱え込んでしまいパンクしそうになったことも(※3)。上司に相談したら、「これからは年上をうまく使えないと、一人前のデスクとは言えないぞ」と突き放されちゃって。結局、「すみません、すみません」と言いながらお願いしています。みなさん、頼み方の工夫ってされていますか?

Rさん 私は躊躇せずサラッと言いますね。ただ、この人にはこう頼む、というように言い方は変えています。

Mさん 私は、若手には細かく指示を出して、男性や年上女性にはざっくり伝えて、どう思うか“意見をうかがう”ようにしています。私のチームに年上の女性部下がいるんですが、一緒にランチをしたり、出かけたり、とにかく気を使わないように気をつけていたら、今は遠慮なく相談しあえる関係になりました(※4)。一緒に考えることで彼女自身のキャリア形成にも協力でき、お互いのサポートができるようになったと思います。

【プロの解説&アドバイス】

①年上の部下とはどう接する?

男女問わず年上の部下には上から目線にならないように注意。「従わせよう」と思うと必ず反発が生まれます。その人の経験や能力を活かしたポジションを与えつつ、コミュニケーションを十分にとって。また、とくに年上の男性部下は、リーダーとして重要な意思決定をする際などに、事前に話を通しておくと「自己重要感」が満たされ、強力なサポーターになってくれるでしょう。(山本氏)

②女性らしいマネジメントとは?

女性リーダーのマネジメントのキモは「任せる」こと。100%自分でやろう・教えようとするのではなく、任せるという発想を持つことが大切です。女性に限らず、リーダーの最終的なゴールは「自分がいなくてもきちんと仕事が回るようなチームを作る」こと。リーダーとして引っ張るだけでなく、やらせてみてサポートする見守り型スタイルは、女性の特性をより活かした新しいリーダーの形といえるでしょう。(山本氏)

③「人に頼る」にはどうする?

リーダーになったら「自分1人でできることは限られている」と早く気づくことが重要です。上司や先輩からアドバイスをもらい、他の部署からも協力してもらう「応援される力」を高めるには、すべてのコミュニケーションを「感謝」からスタートさせること。卑屈にならず、感謝の言葉を伝えましょう。(山本氏)

④年上の女性部下との関係は?

年上の女性メンバーがいる場合、彼女から相談され、悩みを共有できるような関係がベストです。優秀な女性リーダーほど、年上の女性メンバーのキャリア形成についても積極的にサポートしています。そのためには、距離と節度を保ちながらも遠慮せず自分から働きかけること。また、自分には見えないメンバーの悩みにいち早く気づく女性も多いので、協力者になってもらえば、よりチームも円滑になるでしょう。(山本氏)