2016年の思い出深いニュースといえば? 読者のみなさんは何と答えるだろうか。
筆者は何と言っても「リオ五輪」だ。とりわけ、内村航平主将率いる体操男子団体が金メダルを獲得した瞬間は、いまでも鮮明に覚えている。8月9日の朝7時前、最後の種目の床で内村選手が着地を決めて優勝が決まった時の感動はいまだに忘れられない。2004年のアテネ五輪以来3大会ぶりの快挙だ。
その日、内村選手が所属するコナミスポーツを傘下にもつコナミHD <9766> の株価はご祝儀相場で4.7%高と大きく買われた。今回は同社の株価上昇の背景を見てみよう。
内村選手はプロに転向、昨年11月にコナミを退社
昨年11月、内村選手は日本体操界初のプロに転向するためにコナミスポーツを退社した。コナミがご祝儀で株価を上げた分下げてもよさそうだが、同社の株価は12月に入ってさらに上昇した。先月26日には15年ぶりの高値となる4705円をつけたのだ。
内村選手は12月1日から、サッカーの長友佑都や岡崎慎司が契約するスポーツコンサルティングジャパンの「契約プロ」となった。12月21日にはアシックス <7936> とスポンサー契約を発表。今後はメインスポンサーを探し、2020年の東京オリンピックと体操の一層の普及を目指す。
コナミスポーツは、2011年に内村選手が日体大を卒業してから社員として5年間在籍した会社だ。同社にはこのほか、リオ五輪代表の加藤凌平選手、山室光史選手、田中佑典選手が所属している。コナミは、今後も内村選手のサポートを続け、これまで通り同社の施設で一緒に練習することも構わないと言ってくれている。
株式市場は、こういったコナミの「男気」を評価したのだろうか?
好決算とカジノ法案、遊戯王
12月の株価上昇は「内村効果」が主因ではなく、好決算とカジノ法案、遊戯王が背景にあるようだ。
コナミは元来はゲーム会社だ。任天堂のファミコンソフトで成長し1988年に東証2部に上場、同年のうちに東証1部に移行した。「実況パワフルプロ野球」「実況ウイニングイレブン」「メタルギア」「遊戯王」「ダンスダンスレボリューション」などが有名だ。
そして、2001年にスポーツクラブ「エグザス」を運営していたニチイ系列(現・イオン)のピープル社(現・コナミスポーツ)を友好的株式公開買付にて子会社化、健康サービス部門に参入したのである。