3月21日午前のソウルは世界主要都市の中で2番目に大気汚染がひどかった。韓国毎日経済新聞の報道によると、世界の大気汚染の実態を監視する多国籍コミュニティ「エアビジュアル」による韓国時間同日午前7時時点のソウルの空気品質インデックス(Air Quality Index/AQI)は、大気汚染が深刻な中国の北京(160)を上回る179で、世界主要都市の中でインドニューデリーの187に次ぐ値を示したというのだ。

エアビジュアルのAQIは大気中のPM2.5、PM10、一酸化炭素、二酸化窒素、二酸化硫黄、すすなどの汚染物質の量を算出する指標で、数値が高いほど大気が汚染している。前日3月20日午後1時には健康に危険な段階とされる200を超え、214に達した。

中国から飛来と指摘する専門家

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(写真=PIXTA)

2017年3月21日の未明から午前10時頃まで、ソウル全域が濃い霧のようなスモッグに覆われた。前週の3月18日から4日連続でソウルの大気に含まれる微小粒子状物質PM2.5は51~100マイクログラム以上となり、21日には1時間当たりの1平方メートル当たり濃度が100マイクログラムを超過。ソウル周辺の京畿道高陽市、東豆川市、九里市などでも大気汚染がみられた。

PM2.5の1平方メートル当たり濃度が2時間以上にわたって90マイクログラムを上回ったときに発令される「特報」は、2017年1月から3月21日までで85回を数え、2016年の41回、2015年の51回をはるかに上回っている。

PM2.5による大気汚染の悪化原因について、専門家は気象要因による影響が大きいとみており、国立環境科学院大気質統合予報センターのチャン・イムソク氏は「中国からやって来る移動性高気圧が朝鮮半島周辺で停滞する期間が長引いている影響で、PM2.5が以前よりも大量に蓄積された可能性がある」と指摘する。

韓国で排出されるPMへの対策はない

韓国では、PMは黄砂と同じく中国から飛来すると考える人が多いが、環境部は2017年3月21日に政府世宗庁舎で行ったブリーフィングで、2016年11~12月に建設工事現場8759ヶ所の飛散ダストの管理実態を点検し、汚染発生を抑制する措置の基準違反などで533ヶ所の事業所を摘発したと明らかにした。罰金刑以上の宣告を受けた建設会社は、公共工事の入札参加資格の事前審査で減点となる見込みである。

環境部はさらにPMを排出する建設工事現場や事業所など1万箇所を特別点検する計画で、首都圏の学校密集地域206カ所でディーゼル車の煤煙も取り締まりなども実施する。

韓国ではPM10を微細塵(ミセモンジ)、PM2.5を超微細粉塵(チョミセモンジ)と呼んでいる。PM2.5の危険性を周知徹底させるため、洪栄杓(ホン・ヨンピョ)議員の大気環境保全法の改正案発議にしたがって、PM 2.5を微細塵、PM10を浮遊塵と用語変更を推進するというが、PMに加えて黄砂がピークとなる4月を前に具体的な対策はないのが実情だ。

ソウル市内で黄砂対策マスクを使っている人はよく見かけるが、PM2.5対応のマスクを使用しているのは、多くが日本人旅行者か在韓日本人である。(韓国在住CFP 佐々木和義)

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