日本と韓国、中国という漢字を使う3ヵ国。3ヵ国の共通語彙でも、意味が異なる語やニュアンスが異なる語彙もある。「愛人」は、中国語は配偶者、韓国語は日本語の恋人と同意で、「関係」は3ヵ国でニュアンスが異なる。

実は3ヵ国の共通語彙集編さん会議が2017年9月に開催され、3ヵ国共通語彙は270個、日韓の共通語彙は563個、中韓は461個、日中は382個で、日本語の韓国語の共通語彙が最も多いと発表されている。これは韓国檀国大学のペ・ウンハン教授は、韓国の研究陣が選定した語彙の中での調査だ。

日本語と同様、漢字語と固有語で成り立っている韓国語は、経済、産業、学術などさまざまな分野で漢字語が普及しているが、漢字の読み書きができない人が増えた弊害が韓国で広がっており、漢字教育の復活が議論されている。

漢字を捨てた韓国

韓国経済,漢字文化,日韓関係
(画像=PIXTA)

韓国ではさまざまな専門分野に加えて、名前も漢字名が一般的だが、読み書きできない世代が増えている。2011年に成均館大学の李明学(イ・ミョンハク)教授が30代から80代の427人を対象に行なった調査で、自分の子どもの名前を間違えて書いた人は47.8%に上り、30.2%は一文字も書くことができなかった。若年層ほど漢字を書けない人が多く、崔、鄭、柳など、自分の苗字を書けない人も少なくなかった。

日常はハングルが使われるが、公式な場や慶弔は漢字を使うケースが多い。身内の結婚式で受付を担当した男性が祝儀袋の漢字名を読むことができず、相手に聞くのは失礼に当たると番号で整理した例がある。祝儀袋や香典袋の漢字名を写真で撮って、読み方を相談するインターネットサイトも増えていると2017年10月21日付ソウル新聞は紹介している。

名前をハングルで書くべきという意見がある一方で、漢字で記載する人は、ハングル名は同姓同名が多く、他の人と区別するために普段から漢字で書くようにしているのだという。

表音文字のハングルは漢字が異なっても同じ表記になる語がとても多い。新潟県朝日酒造の日本酒「千寿」が人気だが、秋田県天寿酒造の「天寿」もハングル表記では同じになるため、一方が韓国語商標を取得すると他方は商標を取得できず、販売にも支障が生じかねない。

漢字教育の廃止と復活

漢字教育の廃止はナショナリズムの台頭が背景にある。1948年に施行された「ハングル専用に関する法律」で、公文書はハングルで書くと定められ、漢字とハングルで書かれていた公式文書がハングル表記に変わった。

当初は漢字を付していたが、1970年代に当時の朴正煕大統領が漢字廃止を宣言し、漢字教育は中学校と高校の漢文のみとなった。選択科目で受験にも影響がないことから学習者は少なくなり、1980年代には新聞や雑誌も漢字を使わなくなった。小学校での漢字教育は一切禁止となり、教えた教師は懲戒免職など重い処分を受ける徹底だ。

近年、若者を中心に言葉の乱れが起きており、ある大学生が「クムイル(今日)」を金曜日(クミョイル)の略語と勘違いした例がある。科学や化学、電気、電位、電力、電話など、漢字を見れば意味がわかる語も丸暗記するしかない。「プン(風)」という文字を元に、台風、風景、風力など風を含む語彙力は広がる。

2019年から実施される教育課程で、小学5年生と6年生の教科書で漢字教育が復活する予定だ。用語の理解を助けるという趣旨であり、まずは基本漢字300字を使用する。

国語を除く、道徳・社会・数学・科学などの教科書で、執筆陣と審議会が学習に役に立つと判断した漢字を表記することができるようになる。本文ではなく漢字と音・意味を表記する方式で、基礎漢字1800字のなかから小学校の教科書で使われる語の300字程度を記載するという。

日本人と中国人、台湾人は言葉が通じなくても筆談を通してある程度のコミュニケーションができる。漢字語の国のなかで、韓国人だけがコミュニケーションが難しい。漢字教育は、韓国人の知識を高めるだけでなく、日中韓の意思疎通の役にも立つだろう。(佐々木和義、韓国在住CFP)

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