ダイアモンドオンラインの記事によると、NISAの非課税上限が現行の100万円から300万へと引き上げることを検討する、と政府関係者が明らかにしたそうです。今回は非課税上限300万円に引き上げが実現された場合に備えて、予想される事象を検証していきます。
参考: NISA枠の3倍拡大を検討 株価引き上げ狙う政府の思惑 (ダイアモンドオンライン)
NISAの本当の狙いとは?
今年1月から開始したNISA(少額投資非課税制度)はこれまで非課税枠は上限100万円で、口座開設は1人1口座までとされています。政府の狙いとしては、投資に非課税枠を設けることで個人マネーが株式投資に流入させ、アベノミクスの一環として株価対策をするところにあります。3月末までには600万強の数のNISA口座が開設されたようです。
参考: 【第1章】NISAとは?〜はじめてのNISA(ニーサ)/少額投資非課税制度/日本版ISA〜 (NISAonline)
NISA制度に対する不満の声
しかし証券会社や利用者からは上限引き上げなど制度改正を求める声や口座申請から実際の開設までに時間がかかり過ぎるという事情もあり、完全な制度とは言い切れませんでした。今年8月の税制改正の要望を提出する際に、金融庁が金融業界からとりまとめたNISAについての改善意見を提出するようです。
参考: NISA口座利用開始時の具体的な注意点って? (NISAonline)
NISA非課税枠上限300万円に拡大
そこで今回業界からの声と消費税増税による景気低迷を受けて、現在100万円に設定されている非課税枠を300万円に引き上げる案を軸に検討する、と金融庁関係者が明らかにしたそうです。これが実現すれば更なる個人マネーの株式投資への流入が見込め、株価にも良い影響が出ることが期待されます。政府の4月の月例経済報告では景気の基調判断を1年5ヶ月ぶりに下方修正するなど、政府としては消費税増税による景気低迷の中でも、NISAが株式市場に導く個人マネーによる景気回復を期待せざるを得ない状況です。
NISA口座開設はさらに増加、証券会社の対応は?
もし実際にNISAの非課税上限が300万円に引き上げられることになれば、口座開設を希望する投資家が増えることが予想されます。しかしながら現在、NISAの口座手続きというのは投資信託を購入する並に煩雑で、窓口が混雑してしまうと申請から開設まで2ヶ月程度かかることもある為、投資家の投資熱を冷ましてしまうことが懸念されています。実際、全開設口座中で稼働している口座は25%程度に留まり、証券会社各社もそれらはネックに感じており口座開設までの時間短縮を求める声かなり強いようです。
NISA口座開設の時間短縮は当面難しい?
従来の課税有りの口座は即日開設可能なのに対し、NISA口座は開設まで少なくとも1ヶ月半以上かかります。NISA口座の申請には国税庁が管轄する税務署で4〜6週間を要する事務手続きを経る必要があり、時間短縮は国税庁の対応にかかっているため簡単に時間短縮をするのは難しそうです。国税庁法人課税課の担当者も、この期間は事務処理を考慮した上で決めた妥当な期間でこれを厳守するつもりだ、と述べているようです。
上限引き上げ前にNISA口座の申請を
上限引き上げ後は各証券会社のNISA口座開設窓口は大変混雑することが予想されます。NISA口座の開設をお考えになっている方は早めに口座を開設されることをおすすめします。
参考:
NISA始める賢い資産運用〜口座開設の基本を解説〜
(NISAonline)
参考:
NISAで始める株式投資〜おすすめ高配当銘柄への注目法〜
(NISAonline)
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