前週(5/15~5/19)の日本株は高値波乱となった。日経平均は週間で5週ぶりの下落。19日の引け値は1万9590円90銭と週間で293円14銭(1.5%)安。週間高値は1万9989円94銭(5/16)、週間安値は1万9449円73銭(5/18)。

好業績を背景に日経平均は16日には年初来高値を更新、2万円の大台まであと2円まで迫った。

ところが、トランプ大統領の情報リーク事件「ロシアゲート事件」が捜査介入などシリアスな方向へ向かい始め、週央には世界の金融市場は一転してリスクオフとなった。世界的に株式が大きく売られ、債券が買われ、ドルが売られ円高が進んだ。日本株も急落し18日には一時5月2日以来の1万9500円割れとなった。

前週(5/15~5/19)の振り返り

週間株式見通し
(写真=PIXTA)

15日の日経平均は小幅続落、前週末比14円05銭(0.1%)安の1万9869円85銭で終えた。

14日に北朝鮮が再び弾道ミサイルを発射。世界的なサイバー攻撃による被害も確認された。有事の円高が113円前半まで進み、主力株には利益確定売りが先行した。午後にロシアとサウジアラビアが原油減産延長に前向きとの報道があり、時間外で原油高、米国10年債利回りが2.33%台に上昇するとドル円も切り返し、日経平均は下げ幅を縮小した。新興市場は堅調。ジャスダック平均は0.3%高の3087円91銭と年初来高値を更新し、91年7月2日以来25年ぶりの高値を付けた。

16日の日経平均は3営業日ぶりに反発、前日比49円97銭(0.3%)高の1万9919円82銭だった。

NYでナスダック指数、S&P500指数が史上最高値を更新。原油価格も減産が継続する見込みから反発した。日経平均は朝方から2万円を目指すとの期待が高く、一時1万9989円94銭と年初来高値を更新したが、15年12月以来の2万円乗せはならなかった。

17日の日経平均は反落、前日比104円94銭(0.5%)安の1万9814円88銭で終えた。

米住宅指標悪化とロシアゲート事件でドル円は112円前半まで円高が進んだ。日本株にも円高を嫌気して利益確定売りが拡がった。眞子様のご婚約が報じられたがロイヤルウェディングを祝福する相場とはならなかった。

18日の日経平均株価は大幅続落、前日比261円02銭(1.3%)安の1万9553円86銭で終えた。一時1万9500円を割り、5月2日以来約半月ぶりの安値をつけた。

ロシアゲート問題は、トランプ大統領が解任したFBIのコミー氏に対して捜査介入を指示したとの報道で、大統領弾劾まであり得る大問題にまで発展した。NYダウはリスクオフで300ドルを超す今年最大の下落となった。ドル円は一時4月25日以来の110円台まで急落。東京市場でもリスクオフからギャップダウンして大きくさげた。朝方発表された1~3月のGDPは予想を上回ったが材料視されなかった。

19日の日経平均株価は3日ぶりに反発、前日比36円90銭(0.2%)高の1万9590円76銭で終えた。

前日に引き続き一時19500円割れとなったが、週末を迎えてショートの買い戻し、自律反発を狙った買いなどが入った。

先週の海外動向を振り返る

19日のNYダウは141ドル高と続伸し、週間では91ドルの下げとなった。トランプ大統領は19日、就任後初の外遊で中東・欧州に向かった。今週は週を通じてトランプ大統領の外交のスケジュールが入っている。失地挽回から、外交面でポジティブな話題を打ち上げる可能性があり、ロシアゲート事件は一時的に和らぐとの思惑でショートカバーが入った。ドル円は東京時間の引け111円前半から大きな動きはない。CMEの日経平均先物は前週末の大阪引け比90円程度上げている。

「5/22~5/26」の株式展望

今週の東京市場のメインシナリオは、1万9200円~1万9800円レンジでの展開を想定。

日本株のファンダメンタルズは決して悪くない。

18日に発表された1~3月の実質GDPは年率換算2.2%増となりコンセンサスの1.7%増を上回った。11年ぶりの5四半期連続のプラス成長だった。輸出と個人消費が成長を牽引している。

企業業績は、みずほ証券の5月16日までの決算集計(金融除く)によると、17年3月期の最終利益は10.9%増と事前予想の3.4%増を上回った。今18年3月期は11.1%増と二桁増益と続伸する予想になっている。

好調な企業業績を反映して、日経平均225社の累計のEPSは1390円まで高まった。日経平均はPER14倍から16倍のレンジでトレードされることが多く、中央値の15倍で計算した日経平均の理論値は2万850円。2万円を付けたとしても決して割高感はない。

前週の日本株の調整は完全に外部要因によるもの。ただ、先々週、先週と2度、2万円直前まで迫り跳ね返されているため、2万円の頭の重さが意識され始めた。市場では2万円をつけると失効する日経リンク債が大量に発行されているため、2万円ではヘッジの先物売りが大量にでるとの見方もある。

外国人の買いは継続しており、GW明けの5月2週は5602億円と今年最大の買い越しだった。6週間連続で1兆4741億円の大幅買い越しをしている。一方、国内年金などの手口が表れる信託銀行の売りは拡大、5月2週は1287億円売り越した。投信も1717億円売り越し。2万円手前で国内機関投資家の売りスタンスの強さも確認されている。

したがって、2万円突破は外国人投資家の動向次第。ロシアゲート事件で世界の機関投資家はリスクオフの姿勢を強めている。5月8日に米S&P指数のボラティリティ指数であるVIX指数は10年ぶりに10を割ったが17日には15まで急騰した。19日は12まで下落し落ち着きを示したが、世界の投資家はボラティリティの高まりを嫌う傾向が強く、ロシアゲートが落ち着くまでは本格的なリスクオンになるとは考えづらいだろう。6月上旬には英国選挙、フランス選挙なども控えていることも手控え要因だ。

ただ、日本のファンダメンタルズが良く、日銀のETF買いが入ることで下値も限定的だろう。日銀は5月12日に4月17日以来の727億円のETF買いに動いた。下げが加速した先週末も17、18、19日と3日連続で727億円の買いを入れている。

テクニカルでは、25日移動平均が1万9210円、75日移動平均が1万9187円にあり、下値は1万9200円どころでサポートされている。ここを割った場合は心理的抵抗線である1万9000円の攻防となろう。上値は5日移動平均の1万9719円、ボリンジャーバンドの2アルファの1万9817円あたりがレジスタンス。これを抜くなら3度目の2万円トライとなるが外部要因次第だろう。

今週のイベントは、トランプ大統領の外交が中心。20~21日サウジ。22~23日イスラエル、24日バチカンで会談。25日にはベルギーでNATO首脳会談出席、26~27日にはイタリアでG7出席。イタリアでは日米首脳会談も予定されている。

25日からウィーンでOPEC総会が開催される。減産継続が確認されるかが注目だ。日本では22日に黒田日銀総裁の講演が予定されている。27日からはイスラム圏でラマダンがはじまる。この間、中東の投資家はおとなしくなると言われている。

欧州政治の季節がまた来る。6月8日には英国総選挙、6月11日と18日にはフランス議会総選挙がある。6月13~14日には米FOMCと6月前半には重要なイベントが控える。6月FOMCでの利上げ確率は現在7割程度。

今週の経済指標では、日本では22日の4月の貿易収支、26日の4月のCPI。海外では23日の米4月新築住宅販売、24日の米4月中古住宅販売、25日の米1QのGDP改定値、4月の耐久財受注が注目される。(ZUU online 編集部)

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