8月7日引け後にJPX400の構成銘柄の入れ替えが予定されています。各証券会社が銘柄入替の予想を発表していますが、本稿でもJPX400の銘柄選定基準を発表いたします。日経225との銘柄比較の視点から、JPX400新規採用銘柄、除外予想銘柄をあげたいと思います。
JPX400の選定基準概要
まず、東京証券取引所が発表しているJPX400の選定基準について見ていきます。JPX400の選定基準は表1の通りであり、(1)スクリーニング (2) ROE、営業利益、時価総額によるスコアリング (3)定性指標の3指標を併せてみていることがわかります。しかしながら、利益面の指標が最重要視されており、ROEと営業利益を安定して上げている企業が、JPX400の採用銘柄となります。
表1 JPX400の選定基準
No.
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基準
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詳細
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1
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スクリーニング
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以下に該当する銘柄は対象外
(1) 上場後3年未満
(2) 過去3期いずれかの期で債務超過
(3) 過去3期すべての期で営業赤字
(4) 過去3期すべての期で最終赤字
(5) 整理銘柄等に該当
市場流動性指標による選定
上記を除く銘柄から直近3年間の売買代金、時価総額を考慮して上位1000銘柄を選定
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2
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定量指標によるスコアリング
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3年平均ROE(40%)
3年平均営業利益(40%)
時価総額(20%)
※ カッコ内はスコアリングのウエイト
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3
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定性要素
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独立した社外取締役(2名以上)の選任
IFRS採用または採用を決定
決算情報英文資料の開示
※ 定性情報はスコアリングの補完的な位置づけ
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出所: 東京証券取引所ホームページ より筆者作成
日経225に入っていてJPX400から外れている銘柄の紹介
では、従来株式指標として使われてきた日経225とJPX400を比較して見るとどのような銘柄があがってくるでしょうか?日経225に採用しているにもかかわらずJPX400に採用されていない銘柄は、74銘柄に上ります。表2に主なJPX400不採用銘柄を列挙して見ました。どの銘柄も最終赤字により、3年平均のROEが大きく下がり、結果としてスコアリングのランキングに入ってこないことがJPX400から除外している原因と考えられます。
表2 日経225採用銘柄のうち、JPX400に採用されていない銘柄
証券コート
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会社名
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業界
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不採用理由
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< 4005 >
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住友化学
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化学
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2期前赤字により3年平均ROEが低い
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< 6113 >
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アマダ
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機械
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3年平均ROEが低い
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< 6752 >
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パナソニック
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電気機器
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3期前、2期前赤字により3年平均ROEが低い
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< 7261 >
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マツダ
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自動車
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3期前赤字により3年平均ROEが低い
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< 7733 >
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オリンパス
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精密機器
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3期前赤字により3年平均ROEが低い。特設注意銘柄指定(平成25年6月まで)
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< 9501 >
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東京電力
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電力
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2期前、3期前赤字により3年平均ROEが低い
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また、業界ごとの傾向を見ると、原発再稼働ができずに収益が悪化している電力業界は日経225採用3社(東京電力・中部電力・関西電力)がともに除外。海運も3社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)ともに除外。電気機器も29社中15社が除外となっています。一方、銀行は日経225採用11社全社がJPX400に採用。鉄道・バスも日経225採用8社全社がJPX400に採用。自動車もマツダを除く日経225採用8社がJPX400に採用されるなど、業界ごとの差があることは否めません。