相続税評価の算出に大きく影響する「路線価」が7月3日、国税庁から公表された。全国約32万5千地点(標準宅地)の対前年変動率は全国平均で0.4%のプラスとなり、リーマンショック以後、8年ぶりに上昇に転じた昨年に続いての上昇傾向を示した。特に、東京23区を中心とした大都市部の上昇が目立ち、銀座5丁目の銀座中央通りが4032万円で、バブル期をも超えて過去最高額となった。
2015年の相続税法改正により基礎控除額が縮小し、この影響から2014年までの課税割合が4.4%程度だったのに対し、2015年には8%と実に2倍近く増加した。そのため、今回の路線価発表で「我が家の相続対策は大丈夫なのか」とヒヤヒヤしている人も少なくないだろう。
そもそも、路線価とはどのようなものか。路線価は相続税の計算にどのように関係するのか。そして、相続税対策をどのように講じたらよいのだろうかを解説していこう。
路線価とは何か
路線価とは、その宅地が接する道路ごとに付された1平方メートル当たりの価格のことだ。
そして、相続税の元となる土地の評価額を計算する際、もっとも注目されるのが、この路線価を用いた路線価方式なのである。相続での土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式の2種類がある。
路線価方式は、道路が複数存在する市街地にある宅地を評価するのに用いられ、評価額は「路線価×宅地面積(㎡)」で表される。路線価方式で評価した土地の価額は、実勢価格(実際に土地を売却した場合の時価)のおおよそ70~80%程度に収まると言われている。路線価は、国税庁が毎年7月に発表する。
一方、倍率方式は路線価のつけられていない宅地を評価するのに用いられ、「固定資産税評価額×定められた倍率」であらわされる。この際の倍率も、路線価と同様、国税庁のホームページで確認することができる。
道路の開発が行われて久しい平成の今、多くの土地は何らかの道路に接している。そのため、土地の相続を考える際、まっさきに意識が行くのは、この路線価の価格となる。