本記事は、川瀬 智広氏の著書『イケメンタル』(フォレスト出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

メンタル
(画像=Morisu / stock.adobe.com)

自責思考

僕は、自身で事業を始めるようになってから、様々な経営者と出会いました。

その中でも、精神的に余裕のある経営者に共通していたのが、「自責思考」です。

自責思考とは、「責任は自分にある」と考える価値観や思考のことを指します。

わかりやすくいえば、「誰かのせい」にするのではなく、「自分のせい」と、意識の矢印を自分へ向けることです。

イケメンタルな人は、物事がうまくいかなかったとき「誰かのせい、何かのせい」にしません。すべて自分の行動で変えられたこととして受け入れます。この考え方ができる人は、自然と周りから信頼され、好かれます。

一見当たり前に感じるかもしれませんが、なぜそういう人が信頼され好かれるのか。

理由は簡単。それができる人が少ないからです。

人はラクなほうへ流される生き物です。ネガティブな出来事が起きたとき、それを「自分のせいじゃない」「あの人が悪いんだ」「会社が悪い」「社会が悪い」などと、どうしても自分のせいではなく、他人や環境が悪いとしたくなります。

これを他責思考といいます。

他責思考を繰り返していると、周りから人が離れ、信用されなくなるばかりか、自分に対してネガティブなイメージを持つようになり、やがて自身を嫌いになってしまいます。

僕自身もそうでした。僕は30歳の頃、ビジネスを始めようと、ひとりでカンボジアに渡りました。そこで出会った日本人に騙されて、命も失いかけたのです。

当時の僕は、絶望の淵にあり、遺書のようなものも書いて、「すべてはあいつのせいだ」と、自分を騙したその人物を恨みました。「あの人のせいで、あの人のせいで、あの人のせいで……」、いろんな人に言って回りました。

でも、ふと気づいたのです。

「俺は人のせいにばかりしているな……」

自分のことが、どんどん嫌いになり、そこで自問自答しました。

すると、「この人と組んで大成功したら最高だな」「成功すれば、周囲にも高く評価されるしお金持ちにもなれるんじゃないか」と、自分の欲ばかりで動いていたことに気づきました。だからこそ、僕は騙されてしまっていたのです。

―― 他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる

一方で、「自責の意識で考えよう」と言うと、「すべてを自分のせいにすると、自分がかわいそうなのではないか」、そんな声をいただくこともあります。

たしかに、ハラスメントする上司や否定的な親に悩まされていたり、いじめやDVなどトラウマになるような経験をしたりしていれば、相手のせいにしたいと思うのは当然でしょう。実際相手のせいということもあります。

ですが、上司も親も、他者は変えられません。他者を変えるというのは基本的にできないのです。あなたを辛い目にあわせた人物をどれほど恨んでも、今の状況は何も変わりません。

唯一変えられるのは、「自分の考え方と行動」だけです。

カナダの精神科医エリック・バーン氏の言葉に、「過去と他人は変えられない。でも、自分と未来は変えられる」というものがあります。

変えられない他人を変えようと必死になっても、何も変わらず疲弊していくばかり。

果たしてそれで何かいいことが起こるでしょうか。

答えはNOです。

一方で、自責の念を持って、

「自分の何が、相手にその行動を取らせたのか」
「自分はどうしたらよかったのだろう」

と、自分を改善させようとすれば、それは自分の〝伸びしろ〞になります。

自分を必要以上に責める必要はありませんが、あらゆることを含めて、自分の行いや振る舞い、考え方を見直してみるのです。ネガティブな出来事も、すべてを自分の伸びしろに変えて磨き続けていく。

そんな人をカッコいいと思いませんか?

誰がミスした、何が問題だったかを掘り下げてもいいことはありません。原因追究よりも、「自分がどうすればよかったか」を考えることです。

この自責の念を持つことで、他人に振り回されることもなくなります。周りの人が何かミスをしても、「じゃあ今度から、これを伝えよう」と考える。会社に大きな損害があっても、「自分がこうしておけばよかった」という思考にする。

すべてを背負い込むというよりは、「人のせいにしない」と決めておくだけでいいのです。この自責の念を持つことで、自分の伸びしろを知ることができます。自分も未来も変えていけるのは、自責の念を持つからこそなのです。

イケメンタルは「責任」を自ら引き受ける。
『イケメンタル』より引用
川瀬 智広(かわせ・ともひろ)
株式会社GiveGrow 代表取締役。
岐阜県生まれ。宇都宮大学卒業後、吉本興業のお笑い芸人養成所であるNSCに10期生として入学。同期はオリエンタルラジオ、はんにゃ、トレンディエンジェル、フルーツポンチなど。
お笑いの道を諦めた後、アルバイトから(株)第一興商に入社。100店舗の企画責任者や部下500人を束ねる西日本責任者など歴代最短出世を果たし、独立を視野に退社。初めての海外一人旅に出て、訪れたカンボジアに可能性を感じ、日本に帰らずそのままカンボジアに住み始める。移住後、現地日本人に騙され無一文になり、死にかけながらもカンボジアで日本人向けの旅行会社を立ち上げ、432名の日本人をカンボジアに集客する。そこで日本男児の草食化に気付き、帰国後「男を磨く恋活婚活学校BRIGHT FOR MEN(ブライトフォーメン)」を設立。これまでに累計1,400名以上が入学。モテる人、モテない人を数多く見てきた経験から、外見やコミュニケーションの指導はもちろん、メンタルや思考についても独自の考え方を伝え続けている。
著書に『童貞の勝算』(マネジメント社)がある。

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