ふるさと納税の魅力は、実質2000円で地方の特産物などの返礼品が購入できることだ。たとえば、2万円相当のブランド牛を目当てに、ある自治体に5万円のふるさと納税をしても、実際に負担する金額は2000円になる。

しかし、実質2000円の負担で済ませるためには、自治体に対する寄付金の合計額が、ふるさと納税の限度額以内となることが絶対条件だ。言い換えれば、限度額を超えた部分の金額は自己負担となる。そのために、限度額を事前に予測することが大切となってくる。

そこで、返礼品を実質2000円で購入するために、ふるさと納税の限度額の計算方法を解説する。

ふるさと納税
(写真=PIXTA)

ふるさと納税の限度額とは

結論から言おう。ふるさと納税の限度額は「住民税所得割額×20%+2000円」だ。返礼品の購入代金が実質2000円の負担で済む理由は、自治体へ寄付する金額から2000円を差し引いた残りが税額控除されるからだ。

税額控除の内訳は「所得税の寄付金控除」、「住民税の寄付金控除」、「住民税の特例控除」の3種類に分かれる。

ふるさと納税の限度額は、課税所得の金額に比例するのが特徴だ。サラリーマンや会社役員など給与所得者の場合は、給与収入に置き換えても差し支えない。このことは「ふるさと納税の限度額の早見表」を見ることで実感できる。

ふるさと納税の限度額の早見表を概観しよう

ふるさと納税ポータルサイトには、「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」が記載されている。これがふるさと納税の限度額の早見表だ。

ふるさと納税を行う方本人の給与収入 ふるさと納税を行う方の家族構成
独身又は共働き 夫婦又は共働き+子1人(高校生) 共働き+子1人(大学生) 夫婦+子1人(高校生) 共働き+子2人(大学生と高校生) 夫婦+子2人(大学生と高校生)
300万円 28,000円 19,000円 15,000円 11,000円 7,000円 -
325万円 31,000円 23,000円 18,000円 14,000円 10,000円 3,000円
350万円 34,000円 26,000円 22,000円 18,000円 13,000円 5,000円
375万円 38,000円 29,000円 25,000円 21,000円 17,000円 8,000円
400万円 42,000円 33,000円 29,000円 25,000円 21,000円 12,000円
425万円 45,000円 37,000円 33,000円 29,000円 24,000円 16,000円
450万円 52,000円 41,000円 37,000円 33,000円 28,000円 20,000円
475万円 56,000円 45,000円 40,000円 36,000円 32,000円 24,000円
500万円 61,000円 49,000円 44,000円 40,000円 36,000円 28,000円
525万円 65,000円 56,000円 49,000円 44,000円 40,000円 31,000円
550万円 69,000円 60,000円 57,000円 48,000円 44,000円 35,000円
575万円 73,000円 64,000円 61,000円 56,000円 48,000円 39,000円
600万円 77,000円 69,000円 66,000円 60,000円 57,000円 43,000円
625万円 81,000円 73,000円 70,000円 64,000円 61,000円 48,000円
650万円 97,000円 77,000円 74,000円 68,000円 65,000円 53,000円
675万円 102,000円 81,000円 78,000円 73,000円 70,000円 62,000円
700万円 108,000円 86,000円 83,000円 78,000円 75,000円 66,000円
725万円 113,000円 104,000円 88,000円 82,000円 79,000円 71,000円
750万円 118,000円 109,000円 106,000円 87,000円 84,000円 76,000円
775万円 124,000円 114,000円 111,000円 105,000円 89,000円 80,000円
800万円 129,000円 120,000円 116,000円 110,000円 107,000円 85,000円
825万円 135,000円 125,000円 122,000円 116,000円 112,000円 90,000円
850万円 140,000円 131,000円 127,000円 121,000円 118,000円 108,000円
875万円 145,000円 136,000円 132,000円 126,000円 123,000円 113,000円
900万円 151,000円 141,000円 138,000円 132,000円 128,000円 119,000円
925万円 157,000円 148,000円 144,000円 138,000円 135,000円 125,000円
950万円 163,000円 154,000円 150,000円 144,000円 141,000円 131,000円
975万円 170,000円 160,000円 157,000円 151,000円 147,000円 138,000円
1000万円 176,000円 166,000円 163,000円 157,000円 153,000円 144,000円
1100万円 213,000円 194,000円 191,000円 185,000円 181,000円 172,000円
1200万円 242,000円 232,000円 229,000円 222,000円 219,000円 200,000円
1300万円 271,000円 261,000円 258,000円 252,000円 248,000円 238,000円
1400万円 355,000円 343,000円 339,000円 331,000円 277,000円 267,000円
1500万円 389,000円 377,000円 373,000円 366,000円 361,000円 350,000円
1600万円 424,000円 412,000円 408,000円 400,000円 396,000円 384,000円
1700万円 458,000円 446,000円 442,000円 435,000円 430,000円 419,000円
1800万円 493,000円 481,000円 477,000円 469,000円 465,000円 453,000円
1900万円 528,000円 516,000円 512,000円 505,000円 500,000円 489,000円
2000万円 564,000円 552,000円 548,000円 540,000円 536,000円 524,000円
2100万円 599,000円 587,000円 583,000円 576,000円 571,000円 560,000円
2200万円 635,000円 623,000円 619,000円 611,000円 607,000円 595,000円
2300万円 767,000円 754,000円 749,000円 741,000円 642,000円 631,000円
2400万円 808,000円 795,000円 790,000円 781,000円 776,000円 763,000円
2500万円 849,000円 835,000円 830,000円 822,000円 817,000円 804,000円

(引用元:総務省 ふるさと納税ポータルサイト 2017年8月現在)

ふるさと納税の限度額の早見表の見方を解説しよう。300万円から25万円刻みで2500万円までの「ふるさと納税を行う方本人の給与収入」が縦軸、「ふるさと納税を行う方の家族構成」が横軸となっている。自分の状況を当てはめるだけで、ふるさと納税の限度額が想定できる。

ふるさと納税の限度額は、給与収入と家族構成に左右される。したがって、ふるさと納税の限度額を早見表で想定するときは、2つの軸を押さえることがポイントとなる。

ここから「ふるさと納税を行う方の家族構成」の欄に記載されている「独身」「共働き」「夫婦」「子1人(高校生)」「大学生」ついて説明する。

まず「独身」は、配偶者控除と扶養控除が全く適用されないことを意味する。

2番目の「共働き」は配偶者がいるものの、配偶者控除が適用されないことを意味する。

3番目の「夫婦」は、配偶者控除が適用されていることを意味する。

4番目の「子1人(高校生)」は、扶養控除が適用されていることを意味する。控除される金額は配偶者控除と同額だ。扶養控除の範囲は「16歳以上から19歳未満」および「23歳以上」となる。よって、高校生に限らず、対象となる親族を扶養していれば人数に加えられる。

最後の「子1人(大学生)」は、特定扶養控除が適用されていることを意味する。控除される金額は、配偶者控除や扶養控除より多い。特定扶養控除の範囲は「19歳から23歳未満」となる。よって、大学生に限らず、浪人生など対象となる年齢の親族を扶養していれば人数に加えられる。

給与収入103万円以下の家族を扶養している場合には配偶者控除、扶養控除、特定扶養控除が適用できる。

所得税の寄付金控除

ふるさと納税の限度額を構成する最初の項目で、計算式は「(ふるさと納税額-2000円)×所得税率×102.1%」となる。所得税率が課税所得金額に比例するのが特徴だ。また、計算式で所得税率に102.1%を乗じている理由は、復興特別所得税を加味しているためである。

ただし、所得控除の対象となる「ふるさと納税額」は合計所得金額の40%までに制限される。合計所得金額とは、収入金額から必要経費を差し引いた金額だ。給与所得者なら「給与収入-給与所得控除額」となる。

住民税の寄付金控除

ふるさと納税の限度額を構成する2番目の項目で、計算式は「(ふるさと納税額-2000円)×10%」となる。ただし、所得控除の対象となる「ふるさと納税額」は合計所得金額の30%までに制限される。

住民税の特例控除

ふるさと納税の限度額を構成する最後の項目で、住民税所得割額の20%から所得税および住民税の寄付金控除を差し引いた金額だ。計算式は「(ふるさと納税額-2000円)×(100%-住民税率10%-所得税率×102.1%)」となる。

ふるさと納税の限度額を算出する公式

ふるさと納税の限度額は、住民税所得割の20%というが結論となる。そのため、ふるさと納税額の限度額を「X」した場合、「(X-2000円)×(100%-住民税率10%-所得税率×102.1%)=住民税所得割額×20%」の方程式が成り立つ。「X」の金額以内に抑えて自治体へ寄付すると、自己負担額は最小限の2000円となる。

この計算式を組み替えると「X(ふるさと納税額の限度額)=住民税所得割額×20%÷(100%-住民税率10%-所得税率×102.1%)+ 2000円」という、ふるさと納税の限度額を算出する公式が成り立つ。

このように、住民税所得割額と所得税率さえ分かれば、ふるさと納税の限度額を計算することができるのだ。

実際にふるさと納税の限度額を想定しよう

返礼品を実質2000円で手に入れられるかどうかは、この想定の成否に懸かっている。実際に給与収入1000万円のサラリーマンを例に、ふるさと納税額の限度額を計算しよう。専業主婦の配偶者、扶養している高校生と大学生の子どもが1人ずついると仮定する。配偶者控除の適用あり、扶養控除の対象者1人、特定扶養控除の対象者1人となる。



  • 合計所得金額を計算する

給与収入1000万円の場合、給与所得控除額は220万円。したがって、合計所得金額は「給与収入1000万円-給与所得控除額220万円=1780万円」となる。

給与所得控除額は給与収入に応じて次の6段階に分かれる。

  • 162万5000円以下:65万円
  • 162万円5000円超180万円以下:給与収入×40%
  • 180万円超330万円以下:給与収入×30%+18万円
  • 360万円超660万円以下:給与収入×20%+54万円
  • 660万円超1000万円未満:給与収入×10%+120万円
  • 1000万円以上:220万円

例の場合、給与収入が1000万円のため、給与所得控除額は最高額の220万円となる。



  • 住民税所得割額を計算する

所得控除の金額と課税所得金額を計算する必要がある。

所得控除の金額を「社会保険料控除+配偶者控除33万円+扶養控除33万円×人数+特定扶養控除45万円×人数+基礎控除33万円」に当てはめて計算してみよう。

社会保険料控除の金額は給与収入から概算額が計算できる。給与収入に応じて次の金額が目安になる。

  • 給与収入~700万円:給与収入の15%
  • 給与収入800万円:給与収入の5%
  • 給与収入900万円:給与収入の5%
  • 給与収入1000万円:給与収入の5%
  • 給与収入1100万円:給与収入の12%
  • 給与収入1200万円:給与収入の5%
  • 給与収入1300万円:給与収入の11%
  • 給与収入1400万円~1500万円:給与収入の5%
  • 給与収入1600万円以上:161万円

このように、社会保険料控除の金額は給与収入に反比例するのが特徴だ。

例に当てはめると「社会保険料控除125万円(給与収入1000万円×12.5%)+配偶者控除33万円+扶養控除33万円×1人+特定扶養控除45万円×1人+基礎控除33万円=269万円」となる。

課税所得の金額は「合計所得金額780万円-所得控除の金額269万円=511万円」で、住民税率10%を乗じると、住民税所得割額は51万1000円となる。



  • 適用される所得税率を把握する

合計所得金額から所得控除の金額を差し引いた課税所得金額に応じて、次の7段階に分かれる。

  • 195万円以下:5%
  • 195万円超330万円:10%
  • 330万円超695万円以下:20%
  • 695万円超900万円以下:23%
  • 900万円超1800万円以下:33%
  • 1800万円超4000万円以下:40%
  • 4000万円超:45%

所得控除の金額を「社会保険料控除+配偶者控除38万円+扶養控除38万円×人数+特定扶養控除63万円×人数+基礎控除38万円」に当てはめて計算してみよう。

所得控除の金額は「社会保険料控除125万円(給与収入1000万円×12.5%)+配偶者控除38万円+扶養控除38万円×1人+特定扶養控除63万円×1人+基礎控除38万円=302万円」となる。

課税所得金額は「合計所得金額780万円-所得控除の金額302万円=478万円」となり、適用される所得税率は20%となることが分かる。



  • ふるさと納税の限度額を計算する

住民税所得割額と適用される所得税率をもとに、公式に当てはめよう。ふるさと納税の限度額は「住民税所得税割51万1000円×20%÷(100%-住民税率10%-所得税率20%×1.021)+ 2000円=14万1481円」となる。

ふるさと納税の限度額を最大限に生かす方法

上記のふるさと納税の限度額は、1人あたりの金額だ。そのため、自治体へ寄付する人の名義を分散すると、所得税と住民税の控除額の枠を増やすことができる。たとえば、本人と配偶者のふるさと納税の限度額がそれぞれ14万円と仮定する。その場合、返礼品の購入費用を実質2000円にするため、自治体へ寄付できる金額は倍の28万円となる。

このように、ふるさと納税をする人の名義を使い分けることで、限度額を増やすことができる。

ふるさと納税の限度額を想定するポイント

ふるさと納税の限度額の計算方法の解説では、厳密な金額の計算よりも実用性を重視した。返礼品を購入するために自治体へ寄付する金額は1万円単位だからだ。1000円単位の誤差なら、ふるさと納税の限度額を想定するのに差し支えない。そのために、生命保険控除や地震保険料控除を無視している。

ただ、住宅ローン控除や医療費控除の適用を受ける場合には、市区町村の課税課に相談することを勧める。離婚して扶養している子供がいる場合、扶養親族に障がい者がいる場合も同様だ。ふるさと納税の限度額を想定するときに、1万円単位の誤差が生じる可能性があるからだ。

ふるさと納税の限度額を想定するポイントは、判断ミスしない程度に目安となる金額を計算することだ。厳密な金額を基に計算する必要はない。(ZUU online編集部)

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