前週(8/28〜9/1)の日本株は、円高が反転したことで買い戻しが先行、日経平均は7週間ぶりに反発し、週間の引け値は1万9691円47銭と前週末比238円86銭(1.2%)高だった。

北朝鮮が29日に日本領空を侵犯するミサイルを発射し、朝鮮半島の緊張が高まった。世界の金融市場はリスクオフとなり株、債券ともに売られる展開となった。日経平均は、29日に1万9280円の安値をつけ、5月1日以来の1万9300円割れ。有事の円高で29日にはドル円は108円28銭と4月17日の108円14銭以来の円高水準をつけた。

しかし、29日以降GDP改正値など米国の経済指標に予想を上回るものが目立ち始めたことで、米景気の底堅さが確認され、ドルに買い戻しが入りはじめた。ユーロドルは29日につけた15年1月以来3年7ヶ月ぶりの1.20ドルを底に、ドル円も同日の108円28銭を底に、反発し始めた。米株、米長期債利回りも反発、日本株も30日以降3連騰となり週間では上げに転じた。

日経平均の週間の高値は9月1日の1万9735円98銭、安値は29日1万9280円02銭。高安のレンジは456円で長い下ひげをつけて上昇に転じた。

今週は7日のECB理事会で欧州のテーパリングのロードマップが公表される見通しで、その結果待ちとなるだろう。ただ、為替、債券、株とも同じ日に節目をつけて切り返して始めただけにトレンドが変換した可能性が高いと見ている。

前週(8/28〜9/1)の振り返り

株式展望
(写真=PIXTA)

28日の日経平均株価は小幅ながら反落、1万9449円90銭と前週末比2円71銭(0.0%)安で引けた。

週末26日に北朝鮮がミサイルを発射、地政学リスクの高まりで前週末の109円台後半から一時109円03銭まで円高が進行した。ただ円高の割に株価は下げ渋っており、安値は1万9420円と32円安程度だった。ジャスダック平均、マザーズ指数ともに5日続伸しており、外国人売りが減って個人の買いが増えてきているとの印象だった。

29日の日経平均は2日続落、前日比87円35銭(0.5%)安の1万9362円55銭で引け、5月1日以来4カ月ぶりの安値を付けた。

北朝鮮が早朝に日本の領空を横切るミサイルを発射、さらに緊張感が高まった。日経平均は一時170円安の1万9280円まで下落、東京為替市場では一時108円33銭まで円高が進んだ。もっとも、午後から日銀のETF買い733億円が執行され、下げ幅を縮小して引けた。前週で日銀がETFの買い出動したのはこの日だけだった。東証1部の売買代金は活況の目安とされる2兆円を7日連続で割り込んだ。7日連続は16年10月の米大統領選を控えた膠着相場以来。

30日の日経平均3日ぶりに反発、前日比143円99銭(0.7%)高の1万9506円54銭と1万9500円を回復して引けた。

29日の米国市場でドル安、株安、債券安が反転した。米朝問題に関しては軍事衝突に至らないとの見方が支配的で、8月の消費者信頼感指数が予想を上回り、米景気の底堅さが、株、債券、ドルの買い戻しを牽引した。円高の反転、NY株高から日経平均も反発。円は対ドルで110円台まで戻した。売買代金は8日ぶりに2兆円を上回った。

31日の日経平均は2日続伸、前日比139円70銭(0.7%)高の1万9646円24銭で引けた。

米経済指標で4〜6月のGDP改定値、ADP雇用者数などが予想を上回り、海外で株高、債券高、ドル高のリスクオフの買い戻しが継続した。日本市場でも、円安は110円50銭程度まで進み、金利の上昇から下げていたメガバンクなどに買いが膨らみ、2日連続で売買代金は2兆円超えとなった。

1日の日経平均は小幅ながら3日続伸、前日比45円23銭(0.2%)高の1万9691円47銭だった。

米雇用統計と米国の連休を控えているだけに、日経平均、為替ともの小動きではあったが株買い戻し、円安の流れを引き継いだ。高値は一時1万9735円と90円ほど上げていたが、1万9692円の25日移動平均を上回るレベルでは売りオーダーが拡がり、午後には一時マイナスに転じる局面もあったが、引け前にプラスに転じた。これで月の初日の株高は15ヶ月連続となった。ジャスダックは9日続伸と連日でバブル以降の高値を更新、マザーズは3日続伸し、個人の動きが散見されるようになってきている。

先週の海外動向を振り返る

1日には注目の米8月の雇用統計が発表された。非農業部門雇用者数は前月比15万6000人増、失業率は4.4%とともにコンセンサスに届かなかったが、株式市場や為替市場では悪材料視はされなかった。

NY市場では株、債券買い戻しの週央からのトレンドを継続し、NYダウは39ドル高と4日続伸、一時は2万2000ドルを回復し2万1987ドルで引けた。ハイテク、バイオの比率が高いナスダック総合指数は引け値ベースで過去最高値を更新した。週間のNYダウは173ドル高と2週連続の上げとなった。

NY市場でのドル円の引け値は110円30銭。東京引けの110円19銭からの円安傾向は続いている。日経平均先物の夜間取引は1万9720円と先週末の大阪引け値比30円高。

「9/4〜9/8」の株式展望

今週の日経平均のメインシナリオは、1万9500円〜1万9880円でのレンジを想定している。

先週は、世界的に株安、債券安、ドル安が反転した。主要アセットが同日に大きく反転することは相場の潮の変わり目で起きやすいこと。地政学リスクや7日のECM理事会でボラティリティ上がりリスクオフが再燃する可能性はあるものの、一旦トレンドが変わったとの見方が浮上している。

もっとも、9月9日の北朝鮮の建国記念日を控えており、地政学リスクは意識せざるを得ない。9月5日に米議会が夏休み明けで再開されることから、トランプ政権の運営リスクが話題になることも増えそうだ。予算審議はメキシコの壁建設費問題があり難航しそう。連邦債務上限の引き上げ延長も9月末までに決議しないとガバメントシャットダウンの可能性が出てくる。もっとも、議会では法人減税を優先するとの報道があり、減税が通れば株式市場にはポジティブ視される可能性が高い。

地政学リスクを抜きにすれば、日本はマクロ経済も企業業績のミクロも好調だ。1日発表の4〜6月の法人企業統計では、全産業の経常利益は22兆3900億円の22.6%増と過去最高になった。設備投資は1.5%増と3四半期連続で増加した。日経平均のPERは13.9倍と過去のレンジの下限にありバリュエーション的にも割高感は少ない。

日本株の外国人売りが止まらない。31日に発表された8月4週(20〜25日)の外国人動向では現物を1529億円、先物を1781億円の売り越しだった。現先合計で3310億円の売り越し。6週連続の売り越しだ。現物だけだと5週連続売り越しで7911億円売り越している。だた、売りの主役は欧州投資家のようだ。7月中旬から進んだユーロ安による海外資産の評価損を防ぐために売ったとの見方が強い。ユーロ高が反転するようだと売りが止まる可能性がある。先物の売りも今週8日のメジャーSQを控えて買い戻しが入る可能性もあるだろう。そもそもメジャーSQは相場の転機になることがよくあるだけに注目だ。

個人の物色による新興市場や小型株の物色意欲が拡がり始めた。ジャスダックは9連騰。連日でバブル以降の高値更新している。マザーズは3日続伸。東証2部は28日に過去最高値を更新した。マザーズの売買代金は1日に7日ぶりに1000億円を回復した。

テクニカルでは、8月21日に25日移動平均と75日移動平均がデッドクロスした。デッドクロスは4月7日以来。前回の日経は4月17日まで7営業日で約5%下げた。今回はデッドクロスから7営業日で約3%下げて29日に反転した。日柄的にも値幅的にも反転してもいい頃だろう。

サポートは5日移動平均線の1万9531円。これを割り込めば再び安値トライの可能性があり、8月29日安値の1万9280円が次のサポート。日経平均は先週末でちょうど25日移動平均線にある。レジスタンスは75日移動平均の1万9880円。これを上回れば2万円が意識されよう。

今週の重要なイベントは、5日に米国で予定されていた麻生・米ペンス副大統領の会談は地政学リスクの高まりから中止になった。10月の日米首脳会談に先駆ける打ち合わせだった。

海外では、4日は米レーバーデーで米国市場は休場、4日〜10日ASEAN経済大臣会議@フィリピン、5日から米議会再開、6日にロシアの東方経済フォーラム@ウラジオストク、7日にECB定例理事会、9日は北朝鮮の建国記念日、10日にはRCEP閣僚会合@フィリピン、9月24日がドイツ総選挙。重要なのはECB理事会。ドラギ総裁がテーパリングのロードマップを表明するとしている。

経済指標は、日本では6日に7月の毎月勤労統計、7日に7月の景気一致CI指数、景気先行CI指数、8日に4〜6月GDP2次速報、7月の経常収支、8月の景気ウォッチャー調査がある。海外では5日に米7月耐久財受注、ユーロ圏4〜6月GDP、6日に米ISM非製造業景況指数、ベージュブック、9日に中国8月のCPIなどがある。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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