◉中国のCEOも意外に今回のランキングでは振るわず
日本とは対照的に、経済成長著しい中国ですが、残念ながら今回のランキングではCEOの評価は低いようです。中国のCEOは全対象者の17%に及びますが、BEST100に入っているのはわずか3人です。
なお、その矛盾について中国のリーダー達は、中国のCEOはイノベーション重視ではないためと述べています。
これは私見ですが、今回のランキングでは所属の産業や国全体の浮き沈みの影響は除外されるように集計されています。そのため中国の場合は、突出したCEOがいなかったということなのかもしれません。
中国の経営動向については、以下の記事もご覧ください。
参考:
中国でのビリオネアや富裕層の最新事情[後編]
◉アメリカのCEOも全体は決して好調ではない
今回ランキングでは、アメリカのCEOはBEST10の内6名を占めるなど、非常に好調なように思えます。しかし、アメリカのCEO全体が好調というわけではありません。
米国の全てのCEOの平均順位で比較しますと、中南米よりも215位、インドよりも140位、イギリスよりも137位下回っており、大陸ヨーロッパ諸国と同順位です。
◉輝かしい成果を出した中南米のCEO
今回のランキングでは、
中南米のCEOは非常に好調
です。輝かしい結果を出していると言えるでしょう。
例えばブラジルは、全対象者の4.5%に過ぎませんが、9人がBEST100の中に含まれます。また、メキシコもその勢いは際立っており、同国のCEOの平均順位はアメリカを108位上回っています。
中南米の躍進については、こちらの記事でも一部触れています。
参考:
この20年、億万長者の世界にはどんな変化があったのか1/3
なお中南米のCEOに絞ったランキングは、以下の通りとなります。
①ロジャー・アグネリ(ブラジル ヴァーレ)
ヴァーレは元々ブラジルの国営資源企業で1997年に民営化されました。
2001年から2008年在任で、MBAは持たず内部昇進のCEOです。
②マウリシオ・ノビス・ボテーロ(ブラジル エンブラエル)
商業用および社用、軍事用航空機の製造販売に従事する航空機メーカーです。
機体メンテナンス、修理サービスのほか、自社製ジェット機部品の販売も手掛けています。主に欧米の民間航空会社、欧州と中南米諸国の政府向けに航空機を供給しています。
CEOのマウリシオ氏は1995年から2007年までの在任です。
③ホセ・アントニオ・フェルナンデス・カルバハル(メキシコ FEMSA)
メキシコの総合飲料会社です。子会社を通して非アルコール飲料を生産・販売しています。コカコーラ社システムの一部として中南米で事業展開をしており、他にメキシコとコロンビアでコンビニエンス・ストアを保有・運営するほか、ハイネケン社にも投資しています。
ホセ氏は1995年から現在まで在任しています。
④ダニエル・ハッジ・アバウムラッド(メキシコ アメリカ・モビル)
ワイヤレス通信会社です。中南米諸国、カリブ諸島および米国など18カ国でワイヤレス通信サービスを手掛けています。なおこれらほとんどの地域では、固定電話・インターネット・有料テレビ番組のサービスも提供しています。
⑤パオロ・ロッカ(アルゼンチン テナリス)
アルゼンチンの鉄鋼メーカーです。石油・ ガス・エネルギー・機械工業などの分野を対象に、鋼管のハンドリング、貯蔵、配送 サービスを手掛けるほか、南米向けガスパイプライン用溶接鋼管の供給にも従事しています。
パオロ氏は、2002年から現在までの在任です。
以上、各々のランキングについてまとめてみましたが、投資という観点でも、長期的に株主へのリターンをあげているCEOがいる企業が投資家からの信頼を集めるのは言わずもがなだと思います。このような指標も参考にしてみてください。
BY TOMB
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