結果の概要:住宅着工、許可件数ともに市場予想を上回る
12月19日、米国センサス局は11月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は129.7万件(前月改定値:125.6万件)と、129.0万件から下方修正された前月値から増加、市場予想の125.0万件(Bloomberg集計の中央値)を上回った(図表1、図表3)。
一方、住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は129.8万件(前月改定値:131.6万件)と、こちらは129.7万件から上方修正された前月は下回ったものの、市場予想(同127.0万件)は上回った(図表2、図表5)。
結果の評価:住宅着工件数は、10-12月期の住宅投資がプラス成長の可能性を示唆
住宅着工件数の伸びは、前月比+3.3%(前月:+8.4%)と2ヵ月連続のプラスとなった(図表3)。戸建てが+5.3%(前月:+6.1%)と2ヵ月連続でプラスとなった一方、集合住宅は▲1.6%(前月:+14.1%)と、こちらは大幅な伸びとなった前月の反動で3ヵ月ぶりにマイナスに転じた。
前年同月比は+12.9%(前月:▲5.4%)と17年1月以来の2桁のプラスとなった。戸建てが+13.0%(前月:+1.4%)となったほか、集合住宅も+12.6%(前月:▲18.4%)となり、両者ともに2桁の増加となった。
地域別寄与度(前月比)は、北東部が▲4.5%ポイント(前月:+3.7%ポイント)、中西部も▲2.1ポイント(前月:+1.2%ポイント)と前月からマイナスに転じた(図表4)。一方、西部が+4.4%ポイント(前月:▲3.4%ポイント)とプラスに転じたほか、南部が+5.5%ポイント(前月:+6.8%ポイント)と2ヵ月連続でプラスとなった。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が▲1.4%(前月:+7.4%)と市場予想より小幅ながらマイナスに転じた(図表5)。戸建てが+1.4%(前期:+3.3%)と3ヵ月連続でプラスを維持した一方、集合住宅が▲6.4%(前月:+15.9%)と前月からマイナスに転じた(図表6)。
前年同月比では、+3.4%(前月:+2.4%)と2ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+9.7%(前月:+9.1%)と14年5月以降増加基調が持続する一方、集合住宅は▲7.0%(前月:▲7.9%)と3ヵ月連続のマイナスとなっており、集合住宅の回復は遅れている。
一方、ここにきて建設業者の新築住宅販売に関するセンチメントの回復が加速している。住宅市場指数は、12月が74(前月:69)と前月から5ポイント改善し、99年7月以来の水準となった(図表7)。内訳をみても、今後6ヵ月の販売見通しこそ79と05年6月以来の水準に留まった一方、販売現況が81と99年7月以来、客足に到っては58と98年12月以来の水準に回復した。
GDPにおける住宅投資は7-9月期まで2期連続のマイナスとなったが、住宅着工件数(3ヵ月移動平均、3ヵ月前比)が+16.4%と2桁の伸びとなっているほか、足元の堅調な住宅市場指数をみると10-12月期には3期ぶりにプラスに転じることが見込まれる。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
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