結果の概要:住宅着工は予想を下回った一方、許可件数は予想を上回る結果
1月18日、米国センサス局は12月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は119.2万件(前月改定値:129.9万件)と、129.7万件から上方修正された前月値から減少、市場予想の127.5万件(Bloomberg集計の中央値)も下回った(図表1、図表3)。
一方、住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は130.2万件(前月改定値:130.3万件)と、129.8万件から上方修正された前月を下回ったが、市場予想の129.5万件は上回った(図表2、図表5)。
この結果、17年通年の住宅着工件数は120.2万件(前年比+2.4%)、同許可件数は126.3万件(前年比+4.7%)となり、着工、許可件数ともに07年(135.5万件、139.8万件)以来の水準となった。
結果の評価:10-12月期GDPにおける住宅投資は3期ぶりにプラス転換する見通し
住宅着工件数の伸びは、前月比▲8.2%(前月:+3.0%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表3)。集合住宅が+1.4%(前月:▲6.2%)と、前月からプラスに転じた一方、戸建てが▲11.8%(前月:+6.9%)と前月から2桁のマイナスとなったことが大きい(図表4)。
前年同月比は▲6.0%(前月:+13.1%)とこちらもマイナスに転じた。戸建てが+3.5%(前月:+15.4%)とプラスを維持したものの、集合住宅が▲22.6%(前月:+7.7%)と、2桁の落ち込みとなった。
地域別寄与度(前月比)は、北東部▲4.5%ポイント(前月:+3.7%ポイント)、中西部▲0.3%ポイント(前月:▲1.4%ポイント)、南部▲7.4%(前月:+5.2%ポイント)、西部▲0.2%ポイント(前月:+3.5%ポイント)と16年9月以来となる全地域でのマイナスとなった。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が▲0.1%(前月:▲1.0%)と2ヵ月連続のマイナスとなった(図表5)。戸建てが+1.8%(前期:+1.8%)と4ヵ月連続でプラスを維持した一方、集合住宅が▲3.9%(前月:▲6.0%)と2ヵ月連続でマイナスとなったことが大きい(図表6)。戸建ての回復はハリケーンからの復興需要を一部反映しているとみられる。
一方、前年同月比では+2.8%(前月:+3.8%)と3ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+6.1%(前月:+10.1%)と14年5月以降増加基調が持続する一方、集合住宅は▲3.4%(前月:▲6.8%)と4ヵ月連続のマイナスとなっており、集合住宅の回復は遅れている。
一方、12月の住宅着工件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比をみると、年率で+29.7%と9月の同+1.8%から大幅に加速する結果となった(図表7)。
このため、1月26日に発表が予定されている10-12月期の実質GDPのうち、住宅投資は2期連続のマイナス成長となった7-9月期の前期比年率▲4.7%から大幅なプラス転換が予想される。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
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