・日銀は、1/23の金融政策決定会合で、全ての政策を維持した。前回まで引き下げが続いていたインフレ率見通しは、3年半ぶりに維持された上、一部の委員は見通しを引き上げた。

・弊社のアンケートでも、物価上昇見通しの底打ち感と株高で、個人投資家の消費、投資マインドが急速に改善している。「日銀は物価上昇に貢献している」との回答は過去最高となった。

・次の注目点は日銀人事。前回2013年は、2/25に総裁・副総裁人事が発表された。今回も、遅くとも来月末までには発表されるだろう。黒田総裁は再任の可能性が高いが未だ不透明。交代の場合、為替は円高へ、株価は下落とみる市場関係者が多いため、注意が必要である。

日銀が金融緩和維持決定:インフレ率も含めてすべて維持

1/23、日銀が金融政策の維持を決めた(図表1)。インフレ率2%達成には緩和が不十分として、4回合連続で片岡審議委員が反対票を投じた以外は、7人全員が賛成票を投じた。

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(画像=マネックス証券)

また、今回「展望レポート」の政策委員のインフレ率見通しは、3年半ぶりに維持された(図表2)。各政策委員の見通しの幅についても、前回10月時点とほとんど変わらなかったが、18年度の見通しの下限がわずかながら切り上がった(前回の最も低い見通し=1.1%→今回1.3%)。一部の委員がインフレ率の見通しを引き上げた模様だ。前回よりはインフレ見通しがわずかながら強気のトーンになったことが伺われる。

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(画像=マネックス証券)

マネックス証券が日銀の政策決定会合前に行っている個人投資家アンケートでも、こうしたポジティブな見通しが広がりつつある。「日銀はインフレ率上昇に貢献しているか」という問いに対して、「貢献していると思う」という回答の割合は、依然22.7%と低いものの過去最高となった(図表3-1)。

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(画像=マネックス証券)

同様に、貯金を取り崩して消費や投資をするべきという回答も34.4%と急増している(図表3-2)。

当面の注目点:来月後半に発表される日銀幹部人事

次の注目点は日銀人事であろう。前回2013年には、2月25日に次期総裁・副総裁人事案が提示された。今回も前回と同じペースだとすれば、来月末までには発表されるだろう。総裁については黒田氏再任の可能性が高いとみられているが、まだ決め打ちはできない。副総裁人事にいたっては、日銀理事の雨宮正佳氏を中心に複数の名前が挙がっており、まだ不透明である。

黒田氏の総裁人事が発表されてから今日までで、為替は20%円安となり、株価は106%上昇した。このため、ブルームバーグが1月19日に発表した市場関係者調査によれば、黒田氏がもし退任した場合、為替は円高へ、株価は下落とみる市場関係者が多い。次期人選次第ではあるが、これまでの黒田氏の在籍期間中の上げが大きかっただけに、次期人事次第で市場が動揺する可能性は排除できない。当面は人事関連の報道が活発化するとみられることから、若干注意が必要であろう。

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(画像=マネックス証券)

大槻 奈那(おおつき・なな)
マネックス証券 チーフ・アナリスト

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