高齢者向け施設には似たような名前があり、初めて探す人にとっては区別しづらい。なかでもサービス付き高齢者向け住宅 (サ高住) と有料老人ホームは混同しやすいのではないだろうか。この記事では、2つの施設の違いと有料老人ホームを選ぶ時のポイントを紹介する。
サービス付き高齢者向け住宅 (サ高住) と有料老人ホームの違い
まず、サ高住と有料老人ホームの違いは所轄の省庁が違う。サ高住は、国土交通省と厚生労働省が共同で所轄する高齢者向け住宅だ。住宅型有料老人ホームは、厚生労働省が所轄する介護施設で、急速に数が増えている。
また、施設を比較するとサ高住は、一般的に台所などが付いた「住宅型」と、台所などを共同で使う「施設型」の2種類に分かれ、住宅の提供者と賃貸借契約を結んで住む。部屋の広さは25平方メートル以上 (共同スペースがある場合は18平方メートル) と決まっている。サービスは、日中にケアができる専門家が常駐することが義務付けられているが、安否確認や生活相談などにとどまるため、介護サービスを利用したい場合、別途契約しなければならない。
一方、有料老人ホームは、「介護付き住宅型」と介護のない「住宅型」、食事を提供する「健康型」に分かれる。入居する時に一時金を払うことで終身にわたって利用できる権利を保障する利用権契約で、「入浴・排泄 (せつ) ・食事の介護」「食事の提供」「洗濯・掃除等の家事」「健康管理」のいずれか、もしくは全てを提供している。
部屋の広さは、個室の場合は13平方メートル以上。相部屋の場合は部屋の面積を人数で割った1人当たりの床面積が9平方メートル以上と指針で決まっている。また、介護付きの場合、特定施設入居者生活介護というサービスを利用するために介護保険料は定額になる。他にも、職員の人数面で、サ高住は入居者のケアをする専門職を常駐させる義務があるが、有料老人ホームはサービスによって異なるなど規則の違いがある。
有料老人ホームを比較するときのポイント
ケアサービスがある有料老人ホームは魅力的だが、入居一時金が高くて入居できないというイメージを持つ人も多いだろう。入居金が1億円を超える高級老人ホームもある。しかし、その一方で、入居金がかからない老人ホームもあるなど、実際の入居一時金はさまざまである。
比較するときは「月額利用料金」「部屋・共用スペース」「立地」「サービス」の4つのポイントを見極めよう。
月額利用料金は、入居一時金が高いところのほうが、月額料金が低くなる傾向はあるが、入居一時金がゼロのところでも同じくらいの利用料金のところもある。
部屋の広さと入居一時金の関連は深く、入居一時金が高ければ部屋は広くなる傾向がある。しかし、1日の大半をベッドの上で過ごすような体力のない人や、豪華でなくても快適で穏やかな生活を送りたい人などは、広い部屋でなくてもいいのかもしれない。入居者の健康や暮らし方を考えて選ぶといいだろう。
娯楽を楽しむ余裕や体力があるのなら、共用スペースも豪華であることに越したことはないが、そのような体力がない場合もあるだろう。施設の立地が、駅から近いところや都心にある施設は高い。入居者があまり出かけない場合、家族が通いやすいところを選ぶのも選択のポイントとなるだろう。
サービスは、ケアスタッフや看護師の人数や時間と、入居者が受けられるサービスの幅で料金が変わる。
入居者の健康状態やライフスタイルを見て
有料老人ホームは入居一時金が幅広い。比較すると入居一時金が高額な老人ホームに惹かれることが多いかもしれないが、ゼロ円の施設だからと言ってサービスの質が低いわけではない。予算面に関しては、今の資産規模と今後の受け取り年金額を念頭に置きつつ、90歳まで存命だったと仮定すると毎月いくらまで支払えるかを考えると良いだろう。
また、どんな選択肢があるかは、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム 」で検索できる。選ぶ時には、入居者の健康状態やライフスタイル、施設の雰囲気をよく見て選ぶことが大切だ。(提供:大和ネクスト銀行)
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