保険業界の近況
保険業界は1996年の保険業法改正以来様変わりしてきました。保険業界の自由化が進むにつれて、販売チャネルの多様化が進み、消費者にとっては様々な販売経路を通じて保険契約が締結できるようにもなりました。
また、そのような環境で保険商品も様変わりしています。長生きのリスク等から第3分野の保険への需要が高まっていることも大きな変化ではないでしょうか。近年の保険業界の動きとしては、2010年4月に第一生命保険がIPOで上場したことが記憶に新しいです。
国内大手生命保険会社が上場した理由は、配当の確保や資金調達の効率化を行う為で、今後の業界での生き残りをかけて上場という手段に踏み切ったと考えられます。大きな変革を続けている保険業界ですが、上場各社の決算状況はどのようになっているのでしょうか。
注目企業の決算まとめ 前編
①T&Dホールディングス< 8795 >
経常収益は前連結会計年度比13.8%減の2兆857億円となり大幅な減収となりました。中でも保険料等収入が17.1%減の1兆6,097億円と大きく落ち込んでいます。一方で、経常費用は前年度比16.2%減の1兆8,995億円となった結果、経常利益は前年比22.8%増の1,862億円、当期純利益も前年比23.9%増の789億円となり減収増益の決算内容となりました。次年度の業績見通しについては、経常収益は多少増加に転じるものの、経常利益、当期純利益ともに減益見込みとなっています。
②第一生命保険< 8750 >
経常収益は前連結会計年度比14.4%増の6兆449億円となり大幅な増収となりました。子会社である第一フロンティア生命における販売が堅調に推移したこと等により、保険料等収入は前期比19.4%増の4兆3,532億円まで拡大しました。
経常費用は前期比12%増の5兆7,402億円となり、経常利益は前連結会計年度比93.7%増の3,047億円、当期純利益は同140.3%増の779億円を計上し、大幅な増収増益の決算となりました。保険料収入の増加に加え、良好な金融環境を背景とした利息および配当金収益等が増加したことも増益要因として挙げられます。次年度の業績見通しについては慎重な見通しを示しており、経常収益は11.5%減、経常利益は19.3%減の減収減益見込みとなっています。