注目企業の決算まとめ 後編
③NKSJホールディングス< 8630 >
経常収益は前連結会計年度比5.8%増の3兆83億円、経常費用は同5.7%増の2兆8,959億円となり、経常利益ベースでは同7.3%増の1,123億円の経常利益となりました。最終利益も同1.3%増の441億円の当期純利益となり、増収増益の決算内容となっています。主力の損害保険事業において販売が堅調に推移したことが要因です。
次年度の業績見通しは、経常利益ベースで約35%の増益を見込んでいます。ただし、2014年9月の損害保険ジャパンと日本興亜損害保険の合併関連費用を約1,000億円見込み最終利益は減益の見通しを示しています。
④MS&ADインシュアランスグループホールディングス< 8725 >
経常収益は前連結会計年度比1.1%増の4兆3,627億円、経常費用は4兆1,724億円を計上し、経常利益は同26.6%増の1,902億円となりました。保険料等の収入は微増にとどまりましたが、有価証券評価損の減少により資産運用費用が減少したことなどから経常利益が増加しました。最終利益も前連結会計年度比11.8%増の934億円となり増収増益の決算発表となりました。
主力事業である損害保険会社の三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の業績が堅調に推移し、生命保険分野の三井住友海上プライマリー生命保険や三井住友海上あいおい生命保険でも増益を確保しました。次年度の業績については、経常利益ベースで減益の業績見通しが発表されています。
⑤東京海上ホールディングス< 8766 >
経常収益は前連結会計年度比8%増の4兆1,661億円となり、経常費用は同8%増の3兆8,917億円で経常利益は同32.3%増の2,743億円となりました。当期純利益も同42.1%増の1,841億円となり、増収増益の決算発表となりました。国内損害保険事業では減収になったものの、海外保険事業において経常収益が大幅に伸びたことが収益に貢献しました。次年度の業績見通しについては経常利益3,350億円、当期純利益2,300億円と増益見込みを発表しています。
保険業界、今後の展望
保険業界上場各社の決算状況は総じて堅調なものとなっていますが、今後の見通しについては不透明な部分が多いと言わざるをえません。生命保険業界では少子高齢化が進むことにより中長期的に保険の市場規模縮小が起こると考えられます。そのような中、生命保険各社は新しい保険の提供により顧客ニーズの掘り起こしを狙っていますが今後の不透明感は払拭しきれません。
また、損害保険においても消費税増税の影響で、保険料支払いが増加することが予想され、収益悪化要因になると考えられます。過去に保険大国と言われた日本ですが、国内でこれ以上の需要喚起を促すことは難しいのかもしれません。
今後は新興国などの保険普及率が低く経済成長を期待できる市場への戦略展開が大きな鍵を握るでしょう。保険業界の今後の展望は、いくらか明るい兆しは見えてきたものの、しばらくは横ばいの業績が予想されます。
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