個人型確定拠出年金は2017年1月からiDeCo(イデコ)と名称を改め、2018年1月から始まった新しい少額投資非課税制度「つみたてNISA」と比較されることも多いですが、具体的にiDeCoが他の制度と比べ何が有利なのか、またどんなデメリットがあるのかはあまり知られていません。
今回のコラムでは、iDeCoのメリット・デメリットと、どんな人がどのように活用するのがおすすめなのかを紹介します。
iDeCoに加入するメリットは?
iDeCoに加入するメリットは、主に4つあります。
全額所得控除 まず、掛金が全額所得控除できるので、節税効果があることです。例えば、年収が450万円の会社員の方が、月々2万円ずつ、年間24万円iDeCoに拠出する場合、所得税・住民税合わせて約7万3,000円が軽減されます。
運用益が非課税 通常であれば運用益に対して約20%が課税されますが、iDeCoなら非課税となります。利益をまるまる受け取れて、それをさらに運用にまわすことになるため、大きな複利効果が期待できます。
転職をしても移換できる 転職などをしても資産を持ち運びべることが挙げられます。ほとんどの場合、iDeCoの資産は新しい会社に持ち運べますし、転職先が企業型を採用していれば、資産を移換することもできます。離職の場合もiDeCoを継続できます。
60歳以降の受け取り時も控除が 受け取り時も、一時金として受け取るなら退職所得控除が適用され、年金としての受け取りなら公的年金等控除が使えるので、どちらにしても税制上有利になります。
デメリットはあるの?
iDeCoは上記のように非常にメリットが多い制度ですが、デメリットもあります。
運用コスト 投資信託などを運用するコストと、管理のための手数料がかかることです。この運用コストは、各金融機関によって異なりますが、選ぶ金融機関によっては年間5,000円程度差がつくところもあります。
途中でお金を引き出せない 60歳以降の年金受取年齢になるまで、途中で換金できないことです。あまりiDeCoばかりにお金を投資しすぎると、いざという時に使えるお金が少なくなりますが、逆に言えば途中で使ってしまう心配がなく老後資金を貯めることができるという見方もできます。
自己責任で投資 運用に失敗した場合です。自己責任で投資をするので、当然損失が出る場合もあります。その場合、将来の受取額が減ってしまうことになります。
どう活用していくのがいい?どんな人が向いている?
こうしてメリットとデメリットを見てみると、資産運用初心者にとって、iDeCoは大きな武器になると言えます。
特に、運用期間が20年30年と続く若い世代の方にとっては、運用益が課税されない節税効果と、その利益と利息をさらに次の利益・利息に活かせる複利の効果が非常に大きくなるので、そのメリットを生かした運用を積極的に行いましょう。
例えば、資産を運用する場合、安全資産と、元本割れの恐れはあるけれど積極的にリターンを狙うリスク資産をバランスよく保有するのが一般的ですが、iDeCoでは運用益が非課税になることや、所得控除というメリットを活かして、積極的にリスク資産で運用するのも一案です。安全資産は利益自体が少なく、iDeCoの節税効果を活かせない可能性もあるので、預貯金や国債などで保有してもいいでしょう。
iDeCoを利用しさまざまな商品を買っていると、投資が身近なものに感じられ、興味も出てきます。それをきっかけに資産運用に触れる機会が増えていけば、資産運用を全くしてこなかった人に比べ、大きな差がつくはずです。
豊かな老後を目指す
iDeCoは老後資金の形成を主な目的としているため、他の制度と比べ、非常に税制面で優遇されている制度です。その分、60歳まで引き出せないなどの条件はありますが、逆に言えば無駄遣いをする心配がなく、老後の資金を集中して確保できることにもなります。少しずつでも投資に対する知識や情報を集め、iDeCoのメリットを最大限に生かして、豊かな老後を目指してみてはいかがでしょうか。