夫婦であってもお金の話となると、なかなか面と向かって話し合うのは難しい……。ましてや子どもへのお金の教育ともなるとより難しく、あまり積極的に教えていないという人は多いのではないでしょうか。

この背景には、親の世代も学校で金融教育を受けてこなかったことが関係しているかもしれません。そのため、親が子どもにどうお金のアドバイスをしたらよいか悩んでしまうのでしょう。そこで、子どもにお金のことを教える時のコツについて確認してみましょう。

子どもの金融教育 現状は

お金の教育
(画像=PIXTA)

2014年4月に金融経済教育を推進する研究会(事務局 日本証券業協会)が出した「中学校・高等学校における金融経済教育の実態調査報告書 」によると、中学校と比較して高校では金融経済教育の時間は多くなっている事がわかります。しかし、時間を多く取っているといっても、年間で1時間から5時間程度の実施時間です。

このような現状から、中学校、高校でのお金に関する教育は進んでいないようです。そのため、家庭でお金の教育をする必要があり、親世代も一緒に学ぶ姿勢が大事と言えるでしょう。

金融庁が示す最低限身に付けるべき金融リテラシー

それでは、家庭で親が子どもにお金に関することを教える時にヒントとなる目安になるものはあるのでしょうか。金融庁が示す「最低限身に付けるべき金融リテラシーの4分野 」に沿って考えてみましょう。

金融庁は最低限身に付ける金融リテラシーの4分野として、「家計管理」「生活設計」「金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択」「外部の知見の適切な活用」を挙げています。

1)家計管理

まず、家計管理から説明しましょう。家計管理を教えるにあたり、お小遣いで赤字と黒字の概念を伝えるのがよいでしょう。欲しいものはなんでも買えるのではなく限度があることを示すのです。

例えば毎月のお小遣い300円で何が買えるかを聞いてみましょう。「300円以上使おうと思った場合には赤字になり、誰かからお金をもらうか借りないと使えない、こうなると大変だよね」という具合です。こうして赤字はよくないことと示します。

一方で、300円全部使わなくてもいいということも教えます。余った分は欲しいものがでてきた時に買えるようにしておくのがよいと伝えます。「こうして預金すれば何かあってもすぐ買えるよね、いざというときに助かるよね」と教え、黒字の大切さを伝えましょう。子どもは毎月のお小遣いを貯めたほうがよいのかどうかを考えることができるようになります。

2)生活設計

次に考えたいのは生活設計です。これは中長期的に見た場合のお金の使い方、いわゆるライフプランを教えることです。「目先のお小遣いだけではなく、半年後にゲームを買うのに貯めておくんだよ」と話をしてあげましょう。こうすることで、毎月どれくらいお金を貯め準備していけばよいのかを考えるきっかけになります。

3)金融知識

3つ目に金融知識について考えましょう。まずは、お金を預けることを伝えましょう。親に預ける、金融機関に預けるなど、どちらでも構いません。お金を預けることで利息がもらえることを示すのです。「お小遣いのうち〇〇円貯めたら1年後にプラス10円つけるよ」など子どもに提案してみましょう。預ければ増える可能性を示すことで、今お金を使うのがよいのかどうかを考えさせると同時に、世の中のお金の動きを示す一つのきっかけにもつながるかもしれません。

4)外部の知見の適切な活用

最後に外部の知見の適切な活用です。これは、子どもがお金に対しての相談相手を見つけるということを意味します。最初は親への相談でよいでしょう。また、祖父母にお金の教育をお願いしてみることもよいかもしれません。こうすることで、長い人生の中でお金について人からアドバイスをもらうことは大事なことだと、子どもが思うようになるはずです。

なによりも実践で理解

いずれにせよ、教えるだけでは効果があまりないかもしれません。そのため、お小遣いを渡して実践させてみるなど、いろいろとやってみるとよいでしょう。

子どもが自分で考えぬいた結果、お小遣いをどう利用するかは子どもの自由でもよいと思います。ただし、その月の追加でのお小遣いはあげないなど、親子の間でルールをもうけましょう。こうすることで、お金をどのように扱えばよいのかわかるようになり、最終的には社会人になった後のお金のやりくりも自然とできるようになるのではないでしょうか。(提供=auじぶん銀行)

執筆者:伊藤亮太(ファイナンシャルプランナー)

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