投資やビジネスにおいて、投下資本に見合った利益がどのくらい得られるかを把握しなければ投資判断を下すことは難しい。利益を出すどころか思わぬ損失が膨らむ可能性もある。
当たり前のことのように思えるかもしれないが徹底するのは難しい。客観的な指標をもって投資判断を下すことで、振り返る際の材料としても活用ができ、投資に対する目線も高まる。ここでは、収益性を測る指標のひとつ「投資利益率」 (英語表記でROI:Return On Investment) について見ていこう。
投資における「リターン」と、忘れてはならない「リスク許容度」の考え方
ROIは計算式「利益÷投資額」で算出され、投資額に対していかに効率よく利益を上げられるかを把握することができる。少ない投資額で高いリターンを得られれば、収益性が高い投資といえる。例えば、投資額にレバレッジをかけることで大きなリターンを得ることが出来ればROIは高くなる。注意点として、ハイリスク・ハイリターン取引になるため、自分が取れるリスク (リスク許容度) を超えないように適切にコントロールしなければならない。
自分にとっての最適な投資先・投資方法を見つけるためには、上記のような「リターン」と「リスク許容度」の二軸から考える必要がある。一般的に資産や所得が多い人、年齢が若い人ほどリスク許容度が高いといえる。リスクの高い投資をすればするほど、資産価値の下落に耐えられる金銭的、時間的な余裕が必要となるためだ。ただし、経済的側面だけでなく、投資そのものに抵抗があって心理的な余裕がない場合は、リスク許容度は低いと判断する。
超低金利の現在、収益性の観点から見ると、円建ての金融商品だけで運用していても資産を形成することは難しい。一方、海外に目を向ければ、高金利の新興国通貨だけでなく、政策金利を引上げている米ドルも投資対象として検討の余地が高い。ROIとリスク許容度の観点から、外貨預金とFX (外国為替証拠金取引) への投資の有用性を考えてみよう。
「ROI」と「リスク許容度」から外貨預金、FXへの投資を考える
外貨預金は基本的に自己資金で預けるのでレバレッジは1倍であるが、FXはリスク許容度に応じて最大25倍まで (今後引下げの可能性あり) レバレッジをかけることができる。したがって、ROIを単純比較すれば、外貨預金よりも自由度の高いFXの方がROIは高くなるだろう。問題はリスク許容度だ。
外貨預金であれば、損失は投資額に限定される。FXもレバレッジを1倍に設定すれば為替リスクは外貨預金と同じになるが、レバレッジを上げれば予想が外れたときのダメージが大きい。損失が元手の2割減まで耐えられるのであれば、資金の8割は安全に運用し、残り2割の資金でレバレッジをかけてROIを高める方法も考えられる。
一方、レバレッジはかけずに国内外にバランスよく投資してリスクを軽減し、元手が8割に目減りしたら、運用をストップする方法もあり、複数の通貨に分散して外貨預金で運用することも可能だ。投資経験がまだ浅い人、長期で運用したい人にはこちらが向いているといえるだろう。
収益性を判断する際には「目に見えない」部分にも注意
ROIの数値を考える際、投資をしていなければできたことや時間効果にも目を向けたい。例えば、投資から利益を得ることができたとして、仕事面でのスキルアップに時間が割けなくなってしまったり、心理的な余裕を失ったために人付き合いが疎かになり、せっかくの自分の成長機会を見逃してしまったりするようでは、結果的に投資利益率は下がっていると判断するべきだ。
時間効果に関して言えば、投資してから一定の利益を得るためにかかる「数字に表れる時間」だけでなく、投資をするためのリサーチやチャート分析、売買注文手続きといった「数字に表れない時間」も考慮したい。
運用を開始してからの時間効果も、例えば結果的に年10%の利益を得たとして、値動きが激しい金融商品に時間を掛けて頻繁に売買した場合と、外貨預金のように同じ金融商品を1年間保有していた場合とでは、後者の方が高リターンだという判断もできる。頻繁に売買するための時間だけでなく、価格変動に常に向き合うことでストレスが蓄積したり、メンタル面で不調になってしまったりして、仕事や家事に支障をきたすこともある。
このようにROIの構成要素である「利益」と「投資額」の中身を深く理解し、各因子をコントロールすることで投資の質を上げストレスも軽減させた上で、投資のリターンを高めていきたい。(提供:大和ネクスト銀行)
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