ジム・ロジャーズ特集
(画像=ZUU online、撮影=村越将浩)

いまや世界で最も影響力のある投資家の1人となったジム・ロジャーズの発言は、市場関係者の注目を集め、世界の投資トレンドにもインパクトをもたらすといっても過言ではないだろう。

世界的な大富豪にして、投資の天才とも持ち上げられるロジャーズだが、かつては破産を経験したこともある。多くの人にとっては、破産から立ち直るのは困難だが、同氏は、「失敗を恐れるな。できれば早いうちに、2回破産するとよい」と語り、投資家として成功を収め、富を築いた。そんな大富豪のマインドが身につく、同氏の10の金言を紹介しよう。本文名言は、ジム・ロジャーズ著『世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60』(プレジデント社 2015/8/7)より引用。

1.「大事なことを決めるなら、夜ではなくて朝」

巨額の投資資金を動かすロジャーズは、様々な局面で決断を迫られる。投資家という職業柄、株式市場を映し出す複数台のモニターを前に、頭をフル回転させているのかと思えばそうでもなさそうだ。同氏は、抱えている課題や問題の解決策が最もひらめきやすいのは、エアロバイクに乗って運動している朝という。朝は、頭が働き、心がクリアになっていることから、何かを決断するのに最も適している時間帯と説いている。

長引く会議などで、重要な意思決定が1日の中でどんどん後ずれしてしまい、辺りが暗くなってから最終決着しているビジネスパーソンには、時間の使い方を見直す参考ともなりそうな言葉である。時間が許すのであれば、1日置いて、翌朝に再考して最終的な決定を下すような習慣を身につけたいところだ。また、同氏は適格な判断を下すためにも、アイデアのひらめきを導いてくれる運動に加え、食事管理、しっかりとした睡眠を取ることの重要性も強調している。

2.「効率的に動けるのは本当に忙しいとき」

仕事がうまくいかないのを時間の制約のせいにしてはいないだろうか。

周囲を見渡しても、時間がないと嘆いている人のパフォーマンスは高くないかもしれない。ロジャーズに言わせると、本当に忙しい人よりも、暇な人の方が「時間がない」と言い、忙しくないというのは、怠惰で時間管理能力が低いと指摘する。これは同氏自身の経験からも結論付けられたといい、退職した後、時間はたっぷりとあったにも関わらず、何も成し遂げることが出来なかったという。

つまり、仕事で忙しかった時の方が、効率的に動けたというのだ。退職者の大多数は、かつての仕事場でのことを懐かしむだけにとどまるかもしれない。しかし、ロジャーズともなれば、その次に取る行動も大胆だ。リタイア直後の何も達成していなかった状況から抜け出すために、オートバイでの世界一周旅行に挑むことを決めたというから、忙しさを自ら生み出す行動力にも目を引く。

3.「お金を使うときは、賢明な頭で価値を考えてから」

大富豪となったロジャーズは、お金に困ることもなく、贅沢な暮らしを謳歌しているイメージを持っているかもしれない。しかし、大富豪ともなれば、稼ぐ力以上に、お金を使うことにもしっかりとした考えを持ち合わせている。同氏は、行き当たりばったりでお金を使えば、財政破綻に繋がるだけでなく、人生で大切なものが何かを忘れさせてしまうと注意喚起する。

その上で、投資対象が本当に価値あるものなのか、あるいは、一過性のものなのかを頭で考えることが重要であるというマインドを持っている。成金など急にお金を手にした人の消費行動が変化することを揶揄するような言葉もあるが、お金を稼いで大富豪に上り詰めて終わりを迎えるのではなく、その先のお金の使い方にまで意識を向けることができるのが本当の大富豪なのかもしれない。

4.「稼ぎや消費を自慢しない」

インスタグラムなどSNSが発達した現代において、富裕層のゴージャスな生活を覗き見ることは可能になったが、ロジャーズに言わせれば稼ぎや消費は自慢するものではないようだ。実際に、同氏が巨万の富を得て、優雅な暮らしをしていることは明白ではあるが、いくら稼いでいるのか、いくら使ったといった類の話は好まないようだ。また、育った環境においても、両親がお金にまつわる話を口にしたことは一度もないという。

その上で、稼ぎや消費という話題は聞き手に感銘を与えるテーマではないと断言している。SNSなど自慢できるプラットフォームが整い、自慢したくなる稼ぎを手にしたら、ついついその姿を世の人と共有したくなる衝動に駆られてしまう。しかし、謙虚な姿勢を貫くのが真の富裕層の姿である。