相手が「自分自身のことを好き」と思えるように働きかける
なぜか好かれる話し方には「気分」が大切と説く、『「言いにくいこと」をハッキリ伝えても、なぜか好かれる話し方』の著者・藤由達藏氏。ここまで「気分」と「会話」の関係について解説してきた。
本連載の最後に、「気分」に「言葉」をのせて話すときに意識すべきことについて解説してもらった。
幸せを感じられる3原則
本連載のテーマは「なぜか好かれる話し方」なので、相手とよい関係を築けるようにしないといけません。
ですから、言葉をのせるときも、いきなり相手を批判するとか、貶すという手はありません。ごく自然なことをすればいいのです。
つまり、「相手も自分もいい気分にする」ことを考えます。
いい気分になるというのも、考え始めれば難しくなります。シンプルに考えましょう。ともに幸せへと近づいていけるように言葉を繰り出していけばいいのだ、と考えれば間違いありません。
「でも、幸せなんて一人ひとり違うのでは?」
心配は不要です。幸せの具体的な形は一人ひとり違っていても、幸せの原則は次の3つです。
1.自分のことが好き
2.他人は信頼できる
3.自分は誰かの役に立っている
これはオーストリアの心理学者アルフレッド・アドラーが「共同体感覚」と呼んだ概念を3つの原則にまとめたものです。この3つの原則が満たされないと、人は幸福を実感できません。
自分のことが大好きで、他人のことを信頼でき、自分は誰かの役に立っていると感じられていれば誰もが幸せを感じられるということ。
つまり、会話を通じて、これら3つの原則を満たすように働きかけていけばいいのです。
1.相手が「自分自身のことを好きだ」と思えるように働きかける
2.相手が「他人は信頼できるものだ」と思えるように働きかける
3.相手が「自分は誰かの役に立っている」と思えるように働きかける
幸福感を上げるように働きかけるということは、「ほめる」「お世辞を言う」「おべっかを使う」というのとは違います。逆に、この3つの原則が満たされるように働きかけることであれば、どんなことでも構わないのです。
ここでは、幸福の3原則の一つ目、相手が「自分自身のことを好きだ」と思える、この原則を会話の中で活かす方法を紹介します。