しっかりと話を聞いて受け止める
うなずくことで「相手の話を聞いているよ」ということを表現することができます。
しっかりと相手の話を聞く、ということは、その人の話に価値があるとか、聞くに値すると思っているからできることです。しっかりと聞くことで、
「あなたの話は聞く価値がある」
「あなたには価値がある」
というメッセージを送ることができます。自分の話、または自分には価値があるというメッセージを受け取った相手は、自分のことが前よりも少しだけ好きになります。
反対に、そっぽを向きながら「ふん、ふん。へえ、そうなの」などと生返事をしたらどうでしょうか。
「あなたの話は、まともに取り上げる価値もない。わざわざ正面を向いて真剣に聞く価値もない」
というメッセージを発信してしまうのです。そんなメッセージを受けたら、相手は、自分には価値がないのかもしれないと思うでしょう。これでは幸福感が下がってしまいます。
「はい」とか「そうなんですね」と短い言葉を添えながらうなずけば、話し手は自分の話を理解してもらえた気がします。
ただし、「はい、はい、はい、はい」とか「うん、うん、うん、うん」などと小刻みに繰り返すと、かえって耳障りになります。自分の声と「はい、はい、はい、はい」という声が重なると、話を妨げられているように感じたり、話を早く切り上げてほしいと思われているように感じたりしますので、要注意です。「はい、はい、はい、はい」と軽い返事を繰り返すのは、だいたい以下に掲げる目的のどれかです。
1.自分はよくわかっているという意思表示
2.忘れていたけれど、思い出したので、よくわかっているという意思表示
3.相手の話の筋はわかったので、最後まで聞かなくてもわかるという意思表示
4.相手の話を最後まで言わせず区切らせたいという意思表示
5.単にクセになっているので特に目的はない
1から4までは、相手に与える印象を正確に理解していない場合があります。
相手は一所懸命説明しているのかもしれません。
1であれば、あなたが軽々しく「わかっているよ、そんなもん」という気持ちを表現しているのだとしたら、軽んじられていると感じるかもしれません。
2は、わかっているという気持ちが相手に伝わっても、本当にそれが相手の言いたいことと同一かどうかはわかりません。早合点されても、うれしくないと感じるかもしれません。
3と4は、最後まで聞きたくないという強い意思も同時に表示している可能性を理解しないといけません。
自分の言動の影響力に無自覚な5はとても厄介です。相手には、1から4のように伝わり、嫌な気分を味わわせているかもしれません。それに無頓着であれば、相手の気持ちはまったくわからないということです。そうなると、言いにくいことを言えば、吉と出るか凶と出るかは運次第となってしまいます。心許ない状態です。