子育ての経験が、2度目の起業につながった

女性社長の仕事術
『お寺ステイ』で泊まれる高山善光寺(岐阜県)(画像=THE21オンライン)

雲林院氏が2度目の起業でシェアウィングを立ち上げたのは、2016年のこと。そのきっかけも、子育てだった。

「子供と時間を共有することほど、豊かなことはないな、と感じたんです。

豊かさというと、モノの豊かさを思い浮かべがちですが、体験こそが豊かさをもたらすのではなだいろうか。そう考えたときに、商品というモノを作るだけでなく、体験というコトを提供する事業をしたいと思いました。

そして、私がもともとお寺や神社が好きで、あちこちの社寺をよく訪ねていたこともあり、社寺での体験に注目して、ビジネスの経験が豊富な佐藤(真衣)と共同創業したのです」

シェアウィングでは、『お寺ステイ』の他、企業への研修プログラムの提供も行なっている。僧侶が指導する瞑想などで、セルフクレンズをするものだ。研修後も、各自が日常的なトレーニングとして実践できることを重視している。

「社員のストレスがないほうが、パフォーマンスが高くなることは、多くの企業がわかっています。しかし、実際には疲れている社員が多い。そこにニーズがあることは、起業前から、ある程度わかっていました。今では、『お寺ステイ』よりも、企業向けプログラムのほうが伸びているくらいです」

最後に、世の中のワーキングマザーに向けて、アドバイスをいただいた。

「子育てをする女性たちは、やっていることは、皆、それほど違わないでしょう。けれども、『大変だ』と口グセのように言う人もいれば、楽しんでいる人もいる。その違いは、気持ちの持ちようだと思います。

子供と過ごすと、発見が多い。これほど充実した時間は、他にはありません。その時間を楽しむように、気持ちを切り替えるようにすればいいのではないでしょうか。

それから、繰り返しになりますが、人に任せること。仕事はもちろん、家事も任せていいと思います。私は、上の子が生まれた直後から、ベビーシッターをフル活用しました。

最近になってからですが、家の掃除も業者にお願いするようにしました。夫は、知らない人を家に入れることに反対でしたし、『掃除にお金を払うんなら、俺がやるからお金をくれよ』なんて言っていましたが、実際にやってみると、『今日は部屋がキレイだな』なんて、機嫌が良いですよ(笑)」

雲林院奈央子(うんりいん・なおこ)
〔株〕シルキースタイル代表取締役社長/〔株〕シェアウィング代表取締役シェア社長
上智大学文学部ドイツ文学科卒業。〔株〕ワコールにて下着の企画・開発・新規事業を担当。2006年、26歳で、友人と共同代表として〔株〕シルキースタイルを設立。下着やボディケアの専門家として数々のメディアに出演。また、メディアを通じたヒット商品作りやブランディング、女性のコミュニティ作りも得意とする。大使館プロジェクトPORT代表。13年、中小企業庁グッド・ビジネス・アワード部門賞受賞。日本と諸外国の草の根外交活動がライフワーク。16年、代表取締役シェア社長として、会社経営10年、3児の母である友人と〔株〕シェアウィングを設立。社寺の感動シェア体験『お寺ステイ』を世界的に展開。働き方も、ビジネスモデルにおいても、シェアという新しい考え方を追求していく。(『THE21オンライン』2018年07月10日 公開)

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