(本記事は、金川顕教氏の著書『年収1億円の人のすごい習慣』サンライズ・パブリッシング、2018年12月25日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

仕事の中にWANTを見出せ

年収1億円の人のすごい習慣
(画像=g-stockstudio/Shutterstock.com)

「ビジネス」というと、損得勘定が重要だと感じる人が多いでしょう。これくらいの利益 が出るならこの仕事を「するべき=SHOULD」「やらなければいけない=MUST」という思考です。

もう少し深く考えられる人なら、いまの自分の能力や人脈を駆使すれば、これくらいの投資でこれくらいのリターンを得ることが「できる=CAN」という考え方をするかもしれません。

しかし、やりたくないけど「やらなければいけない」とか、やりたくないけど「俺はできるからやる」という考えで仕事をするのは幸せなことなのでしょうか。

もちろんMUSTやCANが不要なわけではありません。ビジネスである以上、そういう仕事もあるでしょう。けれど、理想は、「やるべきで」「自分にできて」「やりたいこと」をやる。

それができることが幸せな人生と言えるのではないか。最近はそんな風に感じています。

大手監査法人に就職する前、公認会計士試験の勉強に追われていた頃の私はMUST思考でした。

何か努力しなければ何者にもなれない。
成功するには何かをしなければいけない。

自分に何ができるか、何をやりたいかを考える余裕もなく、ただ目の前に迫る試験のための勉強をこなすしかない、という状況でした。

年収300万円の人はこの状況に近いのではないでしょうか。

大手の監査法人に勤めはじめ、ある程度お金を稼げるようになると、少し余裕が出てきました。

「自分はこの先何ができるのだろう」とCAN思考で考えられるようになるわけです。おそらく年収1000万円の人も、このくらいの余裕はある人が多いように見えます。

今の自分は完全にWANT思考で動いています。本の出版などはまさにそれです。

本当に今やるべきことか、と言われれば、別に本を書かなくても本業で生計は立てられていますし、超有名な著者の方々に比べれば特別に売れる本を作る能力があるとも思っていません。

では、「なぜ本を作っているのか」というとそれは、単純にやりたいから、ということになります。

近年、仕事でのストレスを苦に自殺してしまう人のニュースを見かけます。

「MUST思考」に陥ってしまい、「MUST生活」に悩んだ末の気の毒な結果です。

もちろんやらなければならない仕事をやること、自分の適性のある仕事をすることも必要ですし、大切なことです。

それに加えて、少しでも自分が本当にやりたいと思えることができれば、自分も幸せになれますし、仕事の生産性も向上するはずなの です。

ですから私は、常にWANT思考で仕事をするように心がけています。

年収300万円の人は「MUST」思考
年収1000万円の人は「CAN」思考
年収1億円の人は「WANT」思考

自分の人生が成功かどうかは、自分が決めるもの

現状十分にお金を稼げていない人にとって、成功とはお金を稼ぐこと、それによって安定した生活を送ることでしょう。例えば公務員になれば、基本的に生活に困ることはありません。

これがある程度お金を稼いでいる年収1000万円の人になると、収入以上に周りからの評価や社会的地位を気にするようになります。

有名企業の社員である、とか難しい資格を持っている、といったことですね。

例えば、友人の医師に面白い話を聞きました。

医師の中でも美容外科は特に儲かる仕事だそうですが、医療業界では軽く見られがちな分野だそうです。

他の分野の医師をしている人に、「今の分野ではなく、もっと儲かる美容外科をやりたいとは思わないの?」と聞くと、「ただお金だけあってもね…」とか、「あんな仕事をしても仕方ないよ」などと言われるというのです。

これなどは収入よりも、医師としての格付け=ステータスにこだわっている典型的な例でしょう。

もちろん、今やっていることが本当に自分がやりたいこと、前述の「WANT思考」で選んだものであるなら、必ずしも収入が高い方を選ぶ必要はないでしょう。

けれど、業界的なステータスの高さというのは周りからの評価であって、自分の内面から湧き出てくる「WANT」とは言えません。

例えば、私が大手監査法人を辞めると言ったとき、同僚たちは「辞めるな」と口を揃えました。

収入だけでいえば、事務所を辞めて独立した方が良くなる可能性もあることは彼らも知っています。ですが、彼らは独立しようとはしません。

一般的に見れば給料が良く、安定しているベタな成功の形、それが「公認会計士」「大手監査法人勤務」という肩書きであり、彼らはそれを捨てるのはもったいない、と考えるわけです。

ですが、私からすれば、そのベタな成功の形である彼らが、楽しそうに働いているようには全く見えませんでした。

年収1000万円の人の中には、「今やっていることは本当に自分がやりたいことなのだろうか」と悩んでいる人もいるかもしれません。

MUST思考やCAN思考から、WANT思考に変わりつつある瞬間です。けれど、年収1000万円という「周りから見た成功」が足枷になり、なかなか決断できない人も多くいるようです。

しかし、私の経験上、そういったいわゆる承認欲求は、年収1億円に近づくどこかのタイミングで全くなくなります。

これは私の周りの年収1億円の実業家の方々にインタビューをしても同じことを言っていました。

本来、自分の人生が成功かどうかというのは、自分が決めるものです。

私自身は、自分が成功しているとは思っていませんし、成功したいとも思いません。

私は常にWANT思考で動いているので、成功とは「やりたいことをやりきった状態」ということになります。だから私は一生成功したくありません。

年収300万円の人は、成功=国家公務員
年収1000万円の人は、成功=電通、伊藤忠、三菱UFJ銀行の社員
年収1億円の人は、成功=一生成功しないこと

年収1億円の人のすごい習慣
金川顕教(かながわ・あきのり)
経営コンサルタント、ビジネスプロデューサー、投資家、事業家、作家。1986年、三重県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業。
大学在学中に公認会計士試験に合格し、有限責任監査法人トーマツ勤務を経て独立。「量からしか質は生まれない」をミッションとして、1人でも多くの人に伝えるために執筆活動を開始。ビジネス書、自己啓発書、小説など多岐にわたるジャンルで累計20万部以上と、ベストセラーを連発させている。

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