(本記事は、金川顕教氏の著書『年収1億円の人のすごい習慣』サンライズ・パブリッシング、2018年12月25日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
150人に絞ってシナジー人脈を作る
年収300万円の人と1000万円の人では、1000万円の人の方が人脈の重要性を理解しているため、公私共に交友関係が広いことが多いはずです。
確かに、10年前も今も全く交友関係が変わっていない、というのでは成長がありませんが、一方で人脈というのはただ数を増やせば良いというものでもありません。
例えば、皆さんの中にはSNS上の友人が1000人を超えている、という人もいるでしょう。ではそのうち、日頃から小まめにやりとりをし、定期的に会ったり電話したりしている、という人はどれくらいいるでしょうか。
少なくとも1000人全員とそのような関係を構築できている人はいないでしょう。
イギリスの人類学者ロビン・ダンバーによると「人間が安定して関係を保てる人数」は150人だそうです。
友人が多くなれば、それだけその相互関係はややこしいものになります。相手によっても自分の在り方、立ち位置を変えなければいけませんし、情報管理も複雑になっていきます。
それらを的確に整理し、行動するためには脳の大脳新皮質と言われる部位の働きが重要となります。ダンバーは、猿や類人猿の脳を調査し、大脳新皮質の大きさとその動物の群れを成す数が相関することを発見しました。
人間の大脳新皮質の大きさから予測される「関係を保てる数」が150人というわけです。
これは社会学的にも実証されている数字です。いまなお狩猟採集民として暮らす部族社会では、氏族や村といった集団の平均人数が153人であることがわかっています。
アメリカやカナダで厳しい宗教戒律に基づく独自の共同体を形成する「アーミッシュ」という集団がいますが、あるグループの構成人数が150人を超えると共同体を2つにわけてしまうそうです。
ビジネス組織論においても、1950年代から、組織の規模が150?200人を超えるとサボる人間や病欠がぐっと増えることが知られてきました。
様々なデータをみても、この150人というのは我々が関係を保てる基準として信頼できるものであると感じます。
150人以上の相手と、連絡先を交換したりSNSに登録したりして一見?がったように見えても、その人たち全員と一緒にいてお互いに価値のある関係=シナジー人脈を構築することは不可能です。
例えば、今あなたのスマートフォンに登録されている電話番号は何件でしょうか。
電話をかける相手というのは、それなりに親しかったり、仕事上でリアルな?がりがあったりする人ですから、関係を保てる150人という指標を取り入れる目安となります。
これが150人を大きく下回っているなら、もう少し積極的に人脈を増やす行動をするのも効果的です。
一方で150人を超えているならばそれはキャパシティオーバーの状態。もう少し人間関係を整理することで、残った人たちとより深い関係、シナジー人脈を築ける可能性が高くなるでしょう。
年収300万円の人は、10人の地元の友人で満足する
年収1000万円の人は、1000人に名刺を配って交友を広げる
年収1億円の人は、150人の仲間と深い関係を築く
相手に与えれば与えるほど、返ってくるものも大きくなる
良い人脈を作ることはビジネスにおいても人生においても重要ですが、それはそう簡単なことではありません。ただこれを意識すると良い人脈ができやすくなる、というポイントはいくつかあります。
そのうちの1つが、「くれくれ君にならないこと」です。人間関係はギブ&テイクで成り立つ、とよく言われますが、多くの人がテイクばかりを求めています。
「儲かる情報を教えてください」「○○業界の人を誰か紹介してください」など、自分の願いばかりをぶつけていては、相手にされるわけがありません。
特に年収が1億円を超える人や、社会的に著名である人は、そういった「くれくれ君」を数多く見ていますから、少しでもそういったそぶりを見せた時点で「またくれくれ君がきたわ」と鼻で笑って相手にしてくれなくなります。
私のところにも、見ず知らずの人からいきなり「メンターになってください」「稼ぎ方を教えてください」と連絡がくることがあります。
本名もわからない、会ったこともない相手に対して「はい、わかりました」と答える人はいないでしょう。
年収1000万円の人ならばこのくらいのことは理解しているでしょうから、基本的にギブ&テイクの人間関係を作ります。
例えば営業で話を聞いてほしければ、いきなり売り込みをするのではなく、まずは相手にとって価値のある情報を持っていく、といった具合です。
しかし、本当に良い人脈を作りたければ、「ギブ&テイク」ではなく「ギブ&ギブ」の精神を持つことが効果的です。見返りを求めず、相手に与えまくるのです。
相手に与えて返してもらうギブ&テイクを常に実践している人よりも、とにかく相手に何を与えられるか?と考えて与えまくる人の方が、結果的に返ってくるものは増えるのです。
私の知り合いで「ギバー」というあだ名で呼ばれている人がいます。とにかく全力でギブをするからギバーです。彼は後輩(後継者)を育てたいという思いから、見返りを求めることなく、自身のノウハウを無料で教えたり、事務所を解放して10人以上の若手を住まわせたりしていました。
その結果彼は素晴らしい人脈を築き上げ、年収1億円に到達しました。
無心の心で与えたものというのは、相手も真摯に受けとめます。それが続けば、感謝の心が生まれ、いずれ必ず返してくれるのです。
ただし、「返してくれ」「感謝しろ」「これぐらいはやってもらわないと割に合わない」と思っていると相手は押し付けに感じて、逃げ出してしまうので注意しましょう。
相手からもらえるだけもらおう、と思っている人は絶対に成功しません。「教えてください」「紹介してください」と言う前に、そもそも自分は便宜を図ってもらえるほど相手に対して何か努力をしてきたか、振り返って考えてみるようにしましょう。
年収300万円の人は、テイク&テイク
年収1000万円の人は、ギブ&テイク
年収1億円の人は、ギブ&ギブ