相続税がかからない非課税財産にはどういったものがあるのかとお悩みではないでしょうか。非課税財産は大きく4つに分類されます。この記事では、その4つの相続税がかからない非課税財産を分かりやすく解説します。

非課税財産を正しく把握することで、相続税を大きく節税できる可能性がありますので、ぜひしっかりと理解をしていってください。

相続税がかからない4つの非課税財産を分かりやすく解説
(画像=税理士が教える相続税の知識)

1. 相続税がかからない4つの非課税財産

金銭的な価値がある相続財産には基本的にすべて相続税がかかります。但し、例外的に非課税財産として相続税がかからない相続財産が法律で定められています。それを具体的に解説していきます。

1-1. 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物

・墓地 ・墓石 ・仏壇 ・仏具 ・仏像 ・神棚 ・庭内神し

上記のようなで、日常礼拝をしているようなものについては相続税がかからないことになっています。
但し、骨董的な価値があるものや商品として所有しているものについては対象外となります。例えば、「金の仏像」などのように仏像自体に価値があり売却し金銭に替えることができるようなものは通常通り相続税の課税対象となります。

判断基準としては、「売却して金銭にすることができるかどうか」と考えると分かりやすいでしょう。
通常であれば、個人が日常礼拝をしているお墓や仏壇を第三者がお金を出して買うことは想定できません。

・庭内神しとは?
「庭内神し」とは、自宅などの敷地内にご神体を祭っている社等のことを言います。地方の名士のご自宅にはかなりの確率でこの「庭内神し」があります。

1-2.相続人が国や地方公共団体等に寄付をした相続財産

相続人が相続で取得した相続財産を寄付した場合、その寄付をした相続財産は非課税財産となり相続税の課税対象から省かれます。但し、ただ、寄付をすればよいというわけではなく、寄付をする先に条件があります。

・寄付先として認められているところ
国、地方公共団体(市区町村等)、公益を目的とする事業を行う法定の法人のいずれかに、相続税の申告期限までに寄付をしたものが対象となります。なお、公益を目的とする事業を行う法定の法人とは、具体的には、ユニセフや日本赤十字、セーブザチルドレンなどが該当します。

なお、相続財産からの寄付金控除について、詳しく知りたい方は、「相続財産からの寄付について」を参照して下さい。

1-3.非課税枠内で相続人が受け取る生命保険金

相続人が受け取る生命保険金は、

「500万円×法定相続人の人数」

の金額まで相続税がかからない非課税財産となります。

1-4. 非課税枠内で相続人が受け取る死亡退職金

相続人が受け取る死亡退職金は、「500万円×法定相続人の人数」の金額まで相続税がかからない非課税財産となります。

1-5.その他の非課税財産

なお、上記の4つ以外に下記のようなものも非課税財産として列挙されていますが、ほとんどの方に関係がない事項となりますのでこちらでは解説を省略させて頂きます。

・宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの

・地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利

・個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの

2.相続税の非課税財産を活用した節税対策

相続税の非課税財産をうまく活用すれば、相続税の節税することが可能です。前述の4つの非課税財産を正しく理解し、相続発生前の段階であれば節税対策が行えます。

生命保険の非課税枠を使った節税対策は比較的使いやすいです。生命保険に加入していない場合には、単純に加入するだけで、いざ相続が発生した際に非課税枠分だけ相続税がかからない非課税財産として認識することが可能だからです。

また、墓地の生前購入についても比較的行いやすい節税対策と言えます。相続発生後に墓地を購入した場合には、その購入に要する資金は当然相続税の課税対象になってしまいますが、相続発生前に本人が墓地を購入した場合、相続財産として墓地が存在することになりますが、その墓地は非課税財産となり相続税の課税対象とならないからです。

3.まとめ

相続税の非課税財産は、「墓地・墓石・庭内神し」「相続人が寄付した財産」「生命保険」「死亡退職金」の大きく4つが該当することを解説してきました。
すでに相続が発生している方は、相続財産が非課税財産に該当するかどうかを慎重に判断し相続税の計算を間違えないようにしましょう。また、まだ相続が発生していない方については、非課税財産を正しく理解することで節税対策が行える可能性もありますので、ぜひ検討してみてください。(提供:税理士が教える相続税の知識