「ウルトラマン」が「ポケモン」に負ける?

東アジア,神田昌典
(画像=THE21オンライン)

『非常識な成功法則』『2022-これから10年、活躍できる人の条件』など数々のベストセラーを輩出し、「日本のトップマーケター」にも選出されたカリスマ経営コンサルタント・神田昌典氏。

その神田氏が満を持して送り出すのが、最新刊『インパクトカンパニー』だ。本書によれば、現在の45歳以上――ちょうど「ウルトラマン」を見て育った「ウルトラマン世代」と、1980年代以降生まれ――ゲーム全盛期に育った「ポケモン世代」との間には大きな断絶があり、今後は45歳以降がポケモン世代の若手経営者の後塵を拝す状況が次々起こってくるという。

だが、それを過剰に悲観する必要はないとも、神田氏は指摘する。では、40代以降が生き残るための方法とは? 新著から抜粋してお届けする。

「あなたたちはもう古い」という決めつけに騙されるな

1960年代以前生まれ、いわば「ウルトラマン世代」と、1980年代以降にゲームとともに育った「ポケモン世代」との間には、大きな断絶がある。

そして今、「ポケモン世代」から、「SHOWROOM」「メタップス」などといった、まったく新しいビジネスが続々と生まれてきている。

今後も、こうした新世代経営者たちが出てくることで、歴戦のキャリアを積んだ大人たちが、その後塵を拝すことが次々と起こってくるだろう。

そんな現実に対し、45歳以上の人は、ひょっとしたらこう思うかもしれない。

「神田さん、ポケモン世代が世の中の中心になったら、我々の世代は、出る幕がないんじゃないですか? もはや老兵は死なずに、ただ消え去るのみでしょうか……」

しかし、「必要以上に恐れることはない」というのが、私の見解だ。

マスメディアは新しいものを追いかけるのが好きで、旧世代に対して、「あなたたちは、もう古い。無価値である」ということを言いたがるので、不安をあおられるかもしれないが、振り子が一方向に振れる時には、反対の方向にもチャンスがあるものだ。

ウルトラマン世代にも、もっと前の世代にも、活躍の場はまだまだ残されている。そのことは、今後の世の中の流れを予測すると、見えてくる。

今後の景気の良し悪しは「人口動態」で予測できる

今後の世の中の流れを予測するに当たり、まず、考えておきたいことがある。

ここ20年、時代の表舞台に立つ地域はどこか。

それは、圧倒的に、アジアだ。

今後、経済的に繁栄する地域がどこかは、各国の人口の年齢分布を表した「人口ピラミッド」を見れば、極めて高い精度で予測がつく。

人口動態に基づく経済予測によって、日本のバブル崩壊や、リーマン・ショックなどの世界経済危機を見事に当てたアメリカのエコノミスト、ハリー・S・デント・ジュニア氏によると、景気の良し悪しは、46~50歳の人口の増減によって決まるという。

人間の消費のピークは40代後半から50歳にかけての時期であり、この頃は、住宅ローンや教育費などの出費をなかなか抑えることができない。だから、人口ピラミッドによって、この年代がいつ、どれだけのボリュームになるかを調べれば、景気は予測できるというわけだ。

日本を例に取ると、46~50歳代の人が一番多かったのは、団塊の世代がその年齢を迎えていた1990年代。

90年代にバブルが崩壊し、その影響が長引いたのは、団塊の世代の消費がピークを迎え、下降していったことが大きな要因だったといえる。

また、ここ数年景気が良いのは、団塊ジュニアたちが40代後半に突入していることと無関係ではないだろう。しかし、彼らの消費がピークを過ぎれば、日本経済は苦しい状況に追い込まれることが容易に想像できる。