【コラム】大事な話の前に「ウーロン茶」は厳禁!
島田氏が東京音楽大学時代に、声楽界の大御所のレッスンを受けることになったときのこと。緊張してのどが渇き、ペットボトルのウーロン茶を飲んでいると、その様子を大御所に見られ、叱られたという。実はウーロン茶は、喉には大敵となる飲み物。中華料理など油っこい料理と一緒に飲むと、口の中の油っぽさを取り除いてスッキリとさせてくれる効果があるが、そうでないときに飲むと喉の粘膜を洗い流し取ってしまうのだ。大事な商談の前や人前で話す直前など、喉を一番いい状態にしておかなければならないときには、ウーロン茶は控えよう。
声を出す前の3分間ストレッチ
1 目を開けたまま、首を回す
目を開いたまま首を左右に5回ずつ回すと、緊張感が緩和される。目を開けたまま回す理由は、色々な場所を見ることで脳がパニックを起こさず自然に視野が広がるから。その後に仕事などで人と会う場合にも、視覚から生じる緊張感が緩和されやすくなる。目は大きく見開く必要はなく、ときどきまばたきをする程度でOK。
2 耳を引っ張る
耳の上部から中部、下部(耳たぶ)にかけてぐるりとある「耳のふち」を手でつまみ、全体をまんべんなく縦・横・斜め・下へと引っ張る。両耳を同時に10秒ほど行えば十分。血行がよくなり耳の付近にある神経がリラックス。体全体がポカポカと温まってくることで喉も温まり、声が出しやすくなる。
3 肩に手を当てながら、肩を回す
背筋をまっすぐに伸ばし、足を握り拳1つ分ほど空けて立つ。肩甲骨を意識しながら肩に手を当てて、しっかりと肩を回す。1秒間に1回転するくらいのスピードで、前回し、後ろ回しを各10回ずつ行なう。肩甲骨がほぐれると、首や肩への余計な負担がかからなくなり、肩のコリも取れ声が出しやすくなる。
4 舌が下の歯の裏についているか、確認する
姿勢が悪く、とくに背中が丸まっていると舌が奥に入ってしまうため、動かしづらくなり、滑舌が悪くなったり声が出しづらくなる。猫背のお年寄りの声が聞き取りづらいのはそのため。そこで、舌は下の歯の裏に軽くつけて、固定してしゃべる習慣化を。このとき、舌を歯につけすぎるのはNG。あくまでも「軽くつける」ことがポイント。
5 口角を意識的に上げる
話が聞き取りづらい、声が通らない人の共通点は、無表情で話をしていること。表情筋をほぼ動かしていない証拠で、口角が下がり気味だ。口角を意識的に上げるようにしよう。手のひらで頬を包み、マッサージするのも効果的。前回し、後ろ回しを各10回。声がよくなるうえに、顔のたるみやシワが改善され、美顔にも効果的。
6 手首をしっかりとほぐす
手の拳を強く握りすぎると力が入ってしまうため、声を出しづらくなる。思い当たる人は手首のストレッチを。両手の指を組んでグルグルと8の字になるように回す。前回し、後ろ回しを各10回ずつ行なう。日頃から手の拳を強く握りしめるクセがあっても、この動きを続けると手首の筋肉がほぐれやすくなり、肩の筋肉もほぐれるようになる。
7 足の親指に力を入れる
かかとに力を入れるクセがある人は、姿勢が悪くなって声に力が入らなくなる。足の親指に力を入れてみよう。握り拳1つ分ほど両足を開き、足の親指のつけ根に重心を置いて少し力を入れて立つ。肩に力は入れずに目線はやや上向きで。かかとが地面に着くか着かないかのリラックス状態を保つようにすると、お腹に息が入りやすくなり、腹式呼吸もできるようになる。
島田康祐(しまだ・こうすけ)ボイスメンタルサポート代表
1980年生まれ。北海道出身。発声コンサルタント。東京音楽大学音楽学部音楽学科(声楽専攻)卒業。聖徳大学大学院音楽文化研究科音楽表現専攻(声楽)修了。プルデンシャル生命保険などを経て、2015 年より現職。独自に考案した「すぐによくなる基礎発声」を用いて、全国の小・中・高校の合唱部の指導をする一方、経営者やビジネスパーソンを対象とした個別指導や講演なども行なう。著書に、『話し方は「声」で変わる』(フォレスト出版)がある。(『THE21オンライン』2019年1月号より)
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