相手が聞きやすい「いい声」の条件とは?

いい声,島田康祐
(画像=THE21オンライン)

話の聞きやすさを左右する要因の一つとして大きいのが、声の出し方だ。声楽を修め10年間の営業経験を経て発声コンサルタントとして活躍する島田康祐氏は、「声の出し方ひとつで、信頼されるかどうかが変わる」と話す。相手に聞いてもらえる話をするために、いい声の出し方について教わった。(取材・構成=内埜さくら)

「普段より高い声=いい声」とは限らない!

心理学に「ハロー効果」という言葉があります。これは、人や物事を評価するとき、第一印象がプラス(マイナス)だと、そのほかの事柄に対してもプラス(マイナス)の評価を抱くようになるという、人間独特の心理作用です。

この大事な「第一印象」を大きく左右するのが、「声」の出し方です。

例えば、営業マンが商品を顧客に説明する場合。明るくハリのある声であれば、顧客の心に気持ちよく響きます。しかし、小さくこもった声で説明すれば、話の内容が良くてもうんざりされてしまうこともあるでしょう。同じ商品を同じように説明したとしても、声によって差がつくことは大いにあり得ます。

では、どうすればいい声が出せるのか。声の出し方はビジネススキルの一つと言えるくらい大事なことだと思いますが、多くの人がベストな声を出すことができていません。

ビジネスパーソンの方々、特に営業や接客に携わる人は、「人前で話すときは普段より高めの声で話しなさい」「ドレミファソラシドという音階の『ラ』の音でしゃべること」などという指導を受けているケースが多いようです。しかし、これは全員にとって正解と言える声の出し方ではありません。声帯の長さも太さも、骨格も人により異なるので、声のトーンが人それぞれ違うのは当然だからです。

自分にとってベストな声の探し方とは?

100人いたら100通りの声の出し方がありますから、まずは「自分にとって一番好ましい声」を探すことが必要です。

具体的には、どう探せばよいのか。次の4つのステップを試してみてください。

1 顎を大きく下げて口をしっかりと開け、顎関節のくぼみを両手の人差し指で押さえる。

2 指が2本分、縦に入るくらいに口を開く。

3 下の歯の裏の部分に舌先を軽くつける。

4 ハリがある少し大きめの声で「あ」を発する。

3音ほど音階を変えて試してみると、自身にとって心地よい声がわかるはずです。実は、それが自分にとって一番出しやすい高さの声。言い換えると、いくらしゃべっても疲れない声、

他人が聞き取りやすい声です。話す相手によって声のトーンを変える必要はないので、常にこの声を出すことを意識してみてください。

常にベストな声で話せば、相手にとって聞きやすいだけでなく、自分にとってもメリットがあります。緊張や萎縮から解放され、自然とリラックスして話せるようになるのです。

訴求力のある話し方で相手の心を動かすことができるようになれば、自分に自信が持てるようにもなるでしょう。心の状態がポジティブになり、仕事や人間関係にも好影響を及ぼすようになります。