一家の稼ぎ頭に万が一のことがあった場合に備え、生命保険を活用している世帯が多いですが、この生命保険はリスク管理という側面だけではなく、相続税対策にも有効な一面があります。そのメリットを3つ紹介しましょう。

1. 非課税枠

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(画像=alexskopje / Shutterstock.com)

第一のメリットとして挙げられるのが非課税枠です。被保険者が亡くなった際、死亡保険金が支払われます。この際、注意しなければならいのが、保険料の支払いを負担する人、被保険者、保険金の受け取りが誰に設定されているかによって、対象となる税金が異なってくるという点です。相続税の対象となるパターンは、保険料を負担する人と被保険者が同一の場合、保険金の受け取る人に相続税が課せられることになります。例えば、世帯の中で父親が被保険者で、保険料を支払い、この父親が死亡した際に、妻あるいは子供が受取人となるケースです。

非課税枠は、死亡保険金の相続人が保険金を受け取る際に、500万円に法定相続人の数を乗じた金額が税金の免除となります。具体的な事例で計算すると、死亡保険金が5,000万円、保険金の受取人が妻、世帯に子供が2人の場合、妻と子供3人が法定相続人としてカウントされます。この3人に500万円を乗じた1,500万円が5,000万円から差し引かれ、課税対象となるのは死亡保険金として受け取った5,000万円のうち3,500万円のみとなります。

さらに非課税枠のメリットとして挙げられるのが、法定相続人には相続放棄をした家族も含めることができる点です。上記のパターンにおいて、子供2人が相続を放棄していた場合でも、法定相続人として計算上は含めることができます。

2.早期の保険金受け取り

家族が亡くなると、その人の名義の銀行口座は凍結されます。従って預金の引き出しができなくなります。日常的に「終活」を進め、契約している口座等の情報を家族と入念に共有できている場合は問題ありませんが、突然の家族の死亡に遭遇した際、どの銀行に口座を保有しているのかを家族の間ですら情報共有ができていないケースもあります。いったん口座が凍結されてしまうと、その解除にはさまざまな事務手続きを経なければなりません。例えば、遺言書がなければ、相続人の戸籍抄本、印鑑証明書、遺産分割協議書などの書類を準備する必要があります。相続人である兄弟や姉妹と疎遠になっている場合が、こうした手続きも煩わしさが増す上、預金を相続するまでにある程度の時間がかかってしまいます。

一方、生命保険の死亡保険金に関しては、手続きに必要な書類を準備できれば、1週間程度で受け取ることも可能です。また、生命保険の契約時に、あらかじめ受取人を指定しておくことで、家族間の争いを回避することも可能です。現金を巡る争いのほか、相続税を納付する際に、納税資金が確保できないという問題も発生するケースがあります。

特に、相続できるのがマンションや土地といった実物資産のみの場合、相続税が発生すると、その資産を売却するなどして納税資金を確保する必要があります。相続税などの納税資金を確保するという観点からも生命保険は有効といえそうです。

3.有利な運用

万が一の際に、残された家族の生活を守る役割が期待される生命保険ですが、毎月の保険料支払いの負担は、家計にとっては必ずしも軽いものではありません。従って、保険金の運用にも目を向ける必要があります。貯蓄性の高い生命保険であれば、低金利の銀行預金より高い利回りでの資産運用も期待できます。

保険料の支払い満期を迎え、保険金の受け取りまで、保険会社に預けておけば、銀行預金より高い収益を上げることも可能です。資産の運用に経験や知識がないという世帯にとっては、生命保険を運用の1つとしてポートフォリオに組み込むことも選択肢となり得るでしょう。運用実績を確実に上げることができれば、各種相続の原資としても有効に資産を活用することにつながります。

文・J PRIME編集部(提供:JPRIME


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