「心の問題」も絡む難しい話だが一般的なモデルを買う場合は高年式中古車がお得かと 「持ち家派 vs 賃貸派」のイデオロギー闘争が続いているのと同様に、車の世界にも「買うなら新車派 vs 中古車派」の静かな闘いは存在している。
それに関する筆者の見解は「微妙」だが、もしも王道輸入ブランドの王道モデルを買うと仮定するなら、新車ではなく「高年式中古車」が得策と考えている。
理由は、すでにいい古されたことだが「車は最初の値落ちが大きく、その後は(基本的に)緩やかにしか値落ちしないから」だ。
昨年7月にマイナーチェンジが行われたメルセデス・ベンツ Cクラスを例に考えてみよう。
マイチェン後のCクラスを新車で買う場合、C180アバンギャルド(489万円)に主要オプションと諸費用を加えた支払総額は約550万円。
そしてそれに3年間乗ったうえで売却するとなると、3年後の予想査定額は……現在の3年落ちCクラスの売価から類推すると約190万円か?
まぁキリの良いところで「200万円」としてみよう。550万円というそれなりの大金を投じても、3年後には200万円ぐらいになってしまうのが、残念ながら一般的な輸入車というもので。しかし中古車なら?
前期型C180アバンギャルドの中古車(走行2万km台)の支払総額はおおむね290万円。装備や総合力は当然最新型より劣るが、それでもいきなりお手頃にはなる。
で、それに3年・3万kmほど乗ってから売却する際の査定額は、走行5万km台の先代Cクラス相場から推測するなら「120万円ぐらい」だろう。
この場合の両者の値落ち率は、新車が約64%で中古車が約59%。想定どおり中古車の方が値落ち率は低いが、64%対59%というのは「誤差の範囲」と見ることもできる。それゆえ、本当に問題となるのは値落ち率ではなく「値落ち額」なのだ。
あなたのメンタルは、「たったの3年で550万円が200万円になる、つまり350万円という大金が消えてなくなる」という事実に耐えられるだろうか? もしも耐えられるのなら、新車がベターだろう。
だがもしも耐えられそうもないのであれば……コンディションと装備の良い高年式中古車を探すべきだ。
最新世代のそれと比較すれば性能も装備も多少は劣り、そして整備代も多少はかかるはず。だがそれでも、大金を失うことによるメンタル崩壊だけは避けることができる。そこを何よりも重視するのであれば、オススメはやはり高年式中古車だ。
その他の注目車種を国別で紹介
本文でも触れた現行メルセデス・ベンツ Cクラスはビッグマイナーチェンジ以降、前期型となった個体の流通量が増加中。
セダンであれば走行2万km台までの物件も230万円付近から狙うことができ、ステーションワゴンも同条件の物件が250万円付近から。なかなかアツい。注目相場:230万~500万円
イタリア車では、走行1万~2万km台までのフィアット 500ツインエアがやっと「100万円ちょい」あたりで探せるようになってきている。注目相場:110万~160万円
その他、アルファロメオジュリアの元試乗車も依然として増加中で、300万円台後半からジュリアスーパーが探せる状況に。
プジョーでは現行3008の元試乗車が増加中で、相場はアリュールLEDパッケージが300万円~といったところ。やや微妙な価格ではあるが、375万円という新車価格から考えるとまあまあお買い得か。注目相場:300万~340万円
その他、先代となったルノー メガーヌR.S.も若干ながら値下がり中。
地味ながら注目したいランドローバーのディスカバリースポーツは依然底堅い相場だが、それでも300万円台後半から低走行物件が見つかる状況にはなってきた。注目相場:360万~420万円
同門のレンジローバーヴェラールはそこそこ流通量を増やしてきているが、中古車らしい"お得感"はまだ少ない。
フルモデルチェンジの影響か、もともとお買い得傾向が強かった先代V60がさらなるお買い得状況に。走行2万km前後までの後期型T4(セーフティパッケージ付き)も190万円付近から狙えてしまうほどだ。注目相場:180万~280万円
その他、現行XC60の中古車も少数ながら登場し始めている。
すでに2018年10月25日の新型登場前には、現行(JK型)ジープ ラングラーアンリミテッドのプライスアクションがやや大きくなっていた。
比較的低走行な個体でも前期型であれば250万円付近から探すことができ、新エンジンとなった後期型も280万円付近から十分イケる状況だ。注目相場:250万~350万円
SUV系は順調に売れているレクサスだが、セダンおよびクーペ系はパッとしない販売状況。しかしそこを逆手に取るのも面白い。
例えば現行ISであれば、装備充実の走行1万km台物件であっても車両価格は余裕で200万円台。考え方によっては悪くない選択だろう。注目相場:230万~300万円
文/伊達軍曹、写真/メルセデス・ベンツ、フィアット、プジョー、ランドローバー、ボルボ、ジープ、レクサス
自動車ライター/輸入中古車評論家
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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※カーセンサーEDGE 2018年12月号(2018年10月26日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
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(提供:カーセンサー)