親族が高齢になったり、逝去したりしたとき、土地を相続する人もいることでしょう。土地の相続で気になるのはやはり相続税です。しかし建物のない更地であっても土地を相続する場合、土地単体で税額を計算することはできません。また土地の評価方法によっても税額は変わってきます。知らない人にとってはわかりにくい土地の相続税。本稿では相続のための流れについて説明します。

土地の相続は一般的なもの

土地を相続,税金
(写真=igorstevanovic/Shutterstock.com)

親が逝去した後、土地を相続するという話はごく一般的に見受けられます。この際、心配になるのはやはり相続税です。土地の評価というものはわかりにくく、実際にいくらの税金がかかってくるのか気をもんでしまう人もいることでしょう。

・相続税は財産全部で考える
相続の形はさまざまです。遠い親戚が逝去したため、ある日突然、地方の小さな土地だけを相続することになったというケースも十分あり得ます。ただ、一般的にはやはり、近親が逝去したことで土地を相続するケースの方が圧倒的に多いでしょう。そのような場合、相続税は土地だけではなく、相続した財産全部で考える必要があります。

相続税は財産全部から基礎控除を引いた金額に課税されます。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば財産を受け継ぐ立場として、配偶者と子ども一人が相続人であった場合、相続税の基礎控除額は3,000万円+600万円×2=4,200万円となります。基礎控除を引いた額を「課税遺産総額」といいます。

課税遺産総額が1億円であった場合、それぞれの法定相続分は1/2ずつとなるため、1億円の1/2である5,000万円が1人あたりの取得金額になります。

相続税額は取得金額に応じた税率を乗じ、控除額を差し引いた金額となり、
5,000万円×20%(税率)-200万円(控除)=800万円 となります。

今回の場合、配偶者と子ども、それぞれが800万円ずつの相続税となるため、総額で1,600万円となるのです。

土地の評価方法は?

では、上記の財産の中に土地が含まれていたらどうなるでしょうか。相続で土地を評価する方法には大きく2種類があります。

・土地の評価方法は大きく2種類に分けられる

①路線価方式
②倍率方式

①の路線価方式は、国税庁が路線価を定めた地域に土地がある場合に適用します。主に市街地や住宅街などが該当します。路線価は相続税路線価と固定資産税路線価に分かれていますが、相続の場合には相続税路線価を適用します。

②の倍率方式は、路線価が定められていない地域で適用します。大抵は住宅ではなく、宅地ではなく田畑や山林などで用いられます。たとえば地方の親戚から山を受け継ぐということもあるため、倍率方式を知っておくことで万一の際、その評価を計ることもできるでしょう。

・土地評価の計算は?

具体的な土地評価の計算はどうなるでしょうか。

①の路線価方式の場合、
評価額=(路線価×奥行価格補正率)×宅地面積 となります。

②の倍率方式の場合、
評価額=固定資産税評価額×国税庁が定める評価倍率 となります。

路線価や評価倍率は国税庁のホームページなどで確認することができます。

また、土地評価は居住用と賃貸用でも評価が異なり、賃貸用(収益物件)ではさらに評価が下がります。

なお、上記はあくまでも基礎的な計算方法です。土地の利用状況や形状などで変化が出てくるため、注意が必要です。

被相続人が複数いる場合は事前に分割方法を協議しよう

たとえば子どもが複数いる場合、その土地をどうするかで課題が生じることがあります。たとえば子どもが2人いて、一人は、土地は先祖代々のものだから売却したくないと主張し、もう一人はもう使うこともない土地だから売却したいと主張するといったパターンです。

このような場合、たとえば以下のような分割方法が挙げられます。

①代償分割
代償分割とは、相続人の一人が土地を単独で取得し、その分の代償金を他の相続人に支払う方法です。この場合の税金は、相続人AとBがおり、相続人Aが評価額3,000万円で土地を取得したかわりに、Bに1,500万円を支払ったとしたら、Aの課税価格は、

3,000万円-1,500万円=1,500万円
Bの課税額は1,500万円となります。

②共有
土地を複数の相続人で同時に共有することも可能です。共有の場合、土地の税金は共有持分においてそれぞれかかってきます。

③現物分割
たとえば相続人AとBがおり、また土地アと土地イがあるような場合、Aが土地アを、Bが土地イを取得すると言う方法です。ただし土地の評価額が異なる場合などはトラブルになるおそれがある点には注意が必要です。

税金も含めたスムーズな遺産分割を

土地の相続はトラブルの原因になりやすいものです。税金面もさることながら、その手続きも手間がかかります。土地を相続する際はなるべく円満かつスムーズな遺産分割ができるよう、事前に協議することも考えておきましょう。(提供:Dear Reicious Online

【オススメ記事 Dear Reicious Online】
40代からの将来設計。早いほどおトクなマンション経営
マンション経営の物件選び!初心者がまず知っておきたい必須のポイント
少子高齢化社会が不動産の可能性に与える影響
「働く」だけが収入源じゃない 欧米では当たり前の考え方とは
実は相性がいい!?不動産×ドローンの可能性