株式相場が不透明な中で、国内の不動産投資信託(REIT)市場は底堅く動いています。もともと実物資産に裏付けられたREITは株式よりも価格が安定しています。
分配金も株式より高く利回り5%を超える銘柄も少なくありません。この超低金利時代にあっては大きな魅力でしょう。
ただしリスク管理は欠かせません。ドル・コスト平均法による購入単価の平準化もその1つです。あわせて将来における減配の可能性についても解説します。
安定的な利回りが魅力のREIT
2019年に入ってから国内REIT型投信の人気が高まっています。2018年は金融庁による分配金見直しの指導もあり資金流出が続きましたが、2019年に入ってからは流入超過に転じています。流入額は半年で1,200億円に達し、6月末時点において純資産残高は約2.7兆円と去年初めのレベルにまで戻りました。
REIT型投信の人気を支えているのはREIT相場です。もっとも標準的なインデックスの東証REIT指数は、2019年7月に2,000の大台に乗せ、実にリーマンショック以来の約12年ぶりの水準でした。
REIT相場上昇要因は3つあります。
1つ目は利回りの高さです。国債10年物利回りがマイナス圏内で推移するなど長期金利の低下が続く中で、REIT利回り(平均約3.8%)の優位性は高まっています。株式の配当利回りが平均2%前後であることを踏まえてもREITの利回りの高さは際立っています
2つ目は不動産市場の堅調ぶりです。一時は懸念されていたオフィス供給過剰も今のところは杞憂に終わっており、都内ビジネスエリアのオフィス空室率は1.71%と記録的な低さで推移しています(三鬼商事2019年8月「オフィスマーケットデータ」より)。
ホテルや物流施設の需要も衰えを見せず、郊外型商業モール系を除けばREITの投資物件はおおむね順調なようです。
3つ目は日銀など金融機関が買い入れることによる下支え効果です。2010年に発動された包括的金融緩和策以来、日銀はずっとETFやREITを買い続け、REITの保有金額は2018年10月中旬においては5,000億円ほどでした。
日銀はこれまで年間購入金額の上限を900億円としてきましたが、この方針に変更はありませんでした。
日銀だけでなく貸出難に苦しむ地方銀行も「安定の円建てで4%近い利回りを確保できる商品はREIT以外に見当たらない」として買い姿勢を強めています。
ドル・コスト平均法で高値づかみリスクの分散を
分配金利回りが魅力のREITですが、元本保証でない点には気を付けなければいけません。下手をすると、価格下落で分配金による利益が吹き飛んでしまうからです。
とくに2018年以降のREITの高値は、足の速い外国人投資家の買い越しに依存していると言われています。外国人投資家の動向が変われば代わりの買い手が見つからないまま急落する可能性もあり、慌てて買うと高値づかみのリスクを負いかねません。
高値づかみのリスクを分散する有効手段の1つが、ドル・コスト平均法です。定額積立とも呼ばれる手法で、ある一定の周期で一定の金額を買い続け購入コストを平準化するものです。
もちろんドル・コスト平均法は完璧ではありません。一本調子で上昇しているようなときは、ドル・コスト平均法より安値の時に一括して買った方が購入コストは下がります。
ただしいつが安値、高値なのかは、投資のプロでも見誤ることが少なくありません。だからこそ機械的なドル・コスト平均法がリスク分散策として効果的なのです。
今後の減配リスクを予測する
REITの魅力はなんといっても分配金利回りであり、その前提が崩れてしまう減配リスクには充分注意しなければいけません。
ここのところREITは増配基調が続いています。2018年下期の増配率は5年平均でも4%を超えています。
賃貸市況の好調だけでなく、超金融緩和による歴史的な低金利も支払利息の減少という形でREITの運営を下支えしています。2018年のREIT各銘柄の固定金利借入金の平均金利は0.91%で、借換えにより調達した金利は0.56%に低下しました。
問題はこれがいつまで続くかです。REIT投資では賃貸市況や金利動向への目配りを忘れないようにしたいものです。(提供:Incomepress )
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