何らかの新しいスキルを身につけ、それまでとは異なるアプローチで社会に貢献しながら充実した日々をすごしたい、シニア起業をして第二の人生を送ってみたいと考える人もいるだろう。
そうやって前向きに自分磨きに取り組む人を応援するための制度が設けられている。
「教育訓練給付」と呼ばれるもので、要件を満たせば資金的なサポートを受けながらスキルアップをめざせるのだ。

教育訓練給付制度とは ?

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(写真=Gustavo Frazao / Shutterstock.com)

「教育訓練給付」とは、一定の条件を満たす雇用保険の被保険者が、厚生労働大臣指定の教育訓練講座を自己負担で受講した際にかかった費用の一部を給付金として支給する制度。自発的にスキルアップやキャリアアップを図ろうとしている人たちをサポートするために国が設けた制度で、大きく分けて「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」の2つがある。

一般教育訓練給付金とは

……受講費用の最大20% (上限10万円) が給付

スキルアップやキャリアアップにつながる教育訓練講座を受講した場合、そのために支払った費用の一部を「一般教育訓練給付金」として支給してもらえる。

「一般教育訓練給付金」としてもらえるのは教育訓練経費の20%に相当する金額だが、その上限は10万円で、総額で4,000円を超えない場合は対象外となる。なお、 受講開始前の1年以内にキャリアコンサルタント (職業能力開発促進法第30条の3に規定するキャリアコンサルタント) からコンサルティングを受けた場合は、その費用を教育訓練経費に加えられるが、その上限は2万円となっている。

対象の講座は「厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」から調べることができ、英会話スクールやパソコンスクール、税理士、会計士、ファイナンシャルプランナーの資格取得講座など様々ある。

【手続き、支給申請】
支給申請手続きは教育訓練の受講者本人が受講修了後、本人の住所を管轄するハローワークに対して、必要書類を提出する必要がある。また支給申請の時期については、教育訓練の受講修了日の翌日から起算して1か月以内に手続を行う必要がある。

専門実践教育訓練給付金とは

……受講費用の最大70% (年間上限56万円) を最長3年間給付

専門実践教育訓練給付金の給付対象は、看護師や建築士、美容師、調理師といった専門性が高い資格取得を目的とした講座や専門学校の職業実践専門課程など、厚生労働省が指定した「専門実践教育訓練」の受講者が対象となる。「専門実践教育訓練」に該当するのは2019年10月1日時点において2,436講座で、厚生労働省のホームページ上でその一覧をチェックできる。

「専門実践教育訓練給付金」としてもらえるのは教育訓練経費の50%に相当する額だが、年間の上限額は40万円で最長3年間分 (120万円が上限) となり、4,000円以下だった場合は対象外となる。さらに、専門実践教育訓練の受講が修了した後、所定の資格などを取得したうえで、受講修了日の翌日以降1年以内に職についた (雇用保険の被保険者となった) 場合、もしくはすでに職についていた場合は、教育訓練経費の20%に相当する金額が追加で支給される。つまり、「訓練経費の50%+追加給付の20%=70%」が支給されるわけだ。ただし、訓練期間が3年の場合は168万円、2年の場合は112万円、1年の場合は56万円が上限となっており、やはり4,000円以下のケースでは支給されない。

「専門実践教育訓練」を受講している45歳未満の離職者は、基本手当が支給されない期間中において、受講に伴う諸経費の負担も援助してもらうことができる。

【受講前手続き、支給申請】
訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受講し、就業の目標や職業能力の開発・向上に関する事項を記載した「ジョブ・カード」の交付を受けることが必要となる。受講開始日の1か月前までに、ジョブカードを含めた必要書類をハローワークに提出する必要がある。支給申請は訓練期間中、半年ごとに行う必要があり、半年が終わった翌日から1か月以内に (受講修了の場合、終了日の翌日から1か月以内に) 、別途必要書類をハローワークへ提出する必要がある。

教育訓練支援給付金

……45歳未満の離職者などを対象に、雇用保険の基本手当日額の80%に相当する額を支給 (2022年までの時限措置)

2022年3月31日までの時限措置として、「教育訓練支援給付金」という制度も設けられている。こちらはシニア起業よりももう少し若い年齢の人が対象となり、初めて専門実践教育訓練 (通信制、夜間制を除く) にチャレンジする人で、そのスタート時点において45歳未満で受講中は失業状態であるなど、一定の要件を満たした人に給付される。

支給されるのは、受講中において基本手当の支給が受けられない期間に対し、「基本手当の80%に相当する金額×2ヵ月ごとに失業の認定を受けた日数」となる。

【受講前手続き、支給申請】
本人の住所を管轄するハローワークに対して、受講開始日の1か月前までに必要書類を提出する必要がある。支給申請は本人が受講中及び受講終了後、本人の住所を管轄するハローワークに対して、申請用書類の提出が必要となる。

それぞれの受給要件や必要書類については、以下のハローワークのHPより確認することができる。

ハローワークインターネットサービス>教育訓練給付

まずは、自分が先々でやりたいことを明確にしよう

国がこうしたバックアップ体制を整えていることを知って、第二の人生に向けて自分磨きに励む意欲がいっそう湧いてきた人もいるだろう。だが、肝心なのは、実際に行動に移す前に自分なりのビジョンを明確にしておくことだ。

第二の人生において自分が求めているのはどんなことで、それを実現するためにはどういった分野のスキルを身につけるべきなのかをしっかりと見定めておこう。そして、そのスキルアップが給付金の対象となるなら、国のサポートを受けながら自分の老後に向けて着々と準備を進めていきたい。(提供:大和ネクスト銀行

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