ビザ(査証)を取得することなく、パスポートだけで入国できる国・地域の数を比較したランキングで、日本が単独1位に輝いた。2020年2月時点の国連加盟国は195ヵ国だが、日本のパスポート所有者は世界中のほとんどの国にビザなしで入国できるのだ。

2020年版最強のパスポート・トップ10

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(画像=structuresxx/Shutterstock.com)

ランキングは、英コンサルティング企業「ヘンリー・アンド・パートナーズ」が国際航空運送協会(IATA)のデータに基づき、独自の調査部門が入手した最新情報を更新して作成したもので、2006年以来毎年発表している。早速順位を見ていこう。

順位 ビザなしで渡航できる国の数
1位 日本  191ヵ国
2位 シンガポール 190ヵ国
3位 ドイツ
韓国
189ヵ国
4位 フィンランド
イタリア
188ヵ国
5位 デンマーク
ルクセンブルク
スペイン
187ヵ国
6位 フランス
スウェーデン
186ヵ国
7位 オーストリア
アイルランド
オランダ
ポルトガル
スイス
185ヵ国
8位 ベルギー
ギリシャ
ノルウェー
英国
米国
184ヵ国
9位 オーストラリア
カナダ
チェコ共和国
マルタ
ニュージーランド
183ヵ国
10位 ハンガリー
リトアニア
スロバキア
181ヵ国

日本は世界一!191ヵ国にビザなしで入国できる

3年連続で首位をキープしている日本。昨年日本とともに首位を獲得したシンガポールは、日本が1ヵ国増えたため、僅差の2位となった。

日本は世界のほとんどの国で入国ビザが免除されているが、ロシアやイラク、アフガニスタン、イエメン、シリアなど35の国・地域への渡航にはビザが必要だ。

10年前の同調査では166ヵ国の英国が1位だったが、日本はわずか10年で29ヵ国増やし、首位となったことは驚異的と言えるだろう。

なぜ、ここまで日本のパスポートが国際的に信用されているのか。結論から先に述べると、日本は国内では様々な問題を抱えているが、対外的な評価は極めて高いからだ。

入国ビザの審査基準は、「入国者が自国にとって、滞在許可を与えるにふさわしい人物かどうか」だ。そのため、入国者本人の素性(犯罪歴など)から、入国者の国の経済情勢や政治情勢(違法滞在や経済移民となる可能性など)まで、様々な要素が考慮される。

日本は、バブル崩壊以降は経済が低迷しているとはいえ、現在も世界第3位の経済大国。また他国と比べても治安が良い。

ビザの発行に厳格な中央アジアにおいても、日本に対して入国ビザ免除の優遇措置を取る国・地域が増えている。たとえば、カザフスタンは日本やシンガポール、韓国を含む45ヵ国に、ウズベキスタンは7ヵ国に、最長30日のビザなし滞在を許可している。

過去数年で大きく順位を上げたシンガポールなども、同様の評価を受けている。

日本のパスポートが躍進した理由

ヘンリー・アンド・パートナーズの会長を務めるクリスチャン・ケーリン博士は、「ビザの自由(Visa Free)は、単にビザなしで渡航できる範囲が広いというだけではない。ビジネスや投資の自由、司法の独立、財政の健全性、財産権など、多様な利益と強い相関関係がある」と言う。

ランキングは、金融危機(2007年)以降、世界経済と政治でアジアの重要性が増している事実を反映しているのではないだろうか。実際、かつて首位だった米国や英国は年々順位を下げ、2014年から2017年まで1位だったドイツも、日本やシンガポールに追い越されている。

パスポートだけで訪問できる国ランキングは国としての信頼度を示す?

ビザなしで渡航できる国・地域が少ないパスポートには、107位のアフガニスタン(26ヵ国)を筆頭に、イラク(28ヵ国)、シリア(29ヵ国)などがある。紛争や内戦により、常に国内情勢が不安定なこれらの国は、年々順位を下げている。

ビザなしで入国できる国の数が国民全体の幸福度や満足度と比例するわけではないが、国家としての安定度や信頼度を表していることは確かだ。世界最強のパスポートのメリットを活かし、視野を広げて多様な価値観を養うためにも、積極的にいろいろな国を旅してみたいものだ。

ただし、ビザが免除されている滞在期間や条件は国によって異なるため、事前の詳細確認を忘れないように注意しよう。

文・アレン 琴子(英国在住のフリーライター)/MONEY TIMES

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