avigan


フランス保健省は10月4日、リベリアでエボラ出血熱に感染した女性が治癒し、パリ近郊の病院を退院したと発表した。この女性の治療で使用された薬のひとつに、富士フイルムグループの富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬「アビガン」が含まれていたという。

富山化学工業は9月26日に、フランス政府機関の要請を受け、アビガンの提供を発表していた。アビガンは、エボラ出血熱に効く可能性があるとされている。

アビガンは、3月に国内での製造販売承認を取得した抗インフルエンザウイルス薬だ。インフルエンザウイルスは、感染した細胞内で遺伝子を複製し、増殖・放出することで他の細胞に感染を拡大するが、現在、治療に用いられている ノイラミニダーゼ阻害剤は、その放出を阻害して感染の拡大を防ぐもの。

アビガンは、ウイルスの細胞内での遺伝子複製を阻害することで増殖を防ぐという新しいメカニズムを有する薬剤で、鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)及びA(H7N9)等に対する 抗ウイルス作用が期待されており、実験動物レベルではすでに効果が確認されている。 この新メカニズムを使用可能な状況にしておくことは意義があると判断され、世界に先駆けて国内で承認を受けている。

ただしアビガンは、インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合に、患者への投与が検討される医薬品であり、ただちに医家向けに販売するものではなく、厚生労働大臣から要請を受けて製造・供給等を行っている。

なお、富士フイルムと富山化学工業は、引き続き、当該薬事当局、関係国際機関、ウイルス感染症専門医などと連携しアビガン錠をエボラ出血熱患者の治療に活用する可能性について検討していくとしている。

【関連記事】
日本政府へ提供要請続く…ドイツでもエボラ熱に効く「アビガン」投与
日本の薬がエボラ出血熱に苦しむ世界を救う?ギニア政府が協力要請
今のうちに「LINE」に投資をする方法をわかりやすくまとめてみた。
IPO(新規公開株)ならどのネット証券会社が優位? 抽選方法や取扱実績の比較から
入居率97%のマンション経営、「空室なし不動産」の意外な見分け方とは?