(本記事は、津井 輝氏の著書『「競売不動産」で資産を増やす方法』実業之日本社の中から一部を抜粋・編集しています)
資金管理は守りではなく「攻め」そのもの
資金管理と聞くと、管理をする、守りだけのイメージがあります。しかし、意外にも投資においては「資金管理」こそが、「攻め」そのものになっていることに気付かされます。
資金管理こそが投資の本質です。ボクシングでたとえると、パンチを繰り出した腕は、伸びきった状態のままでは、何の役にも立たないどころか、相手に攻撃される隙を与えてしまうだけです。すぐに元の位置に戻して、防御を兼ねながら、次の攻撃の準備に入らなければなりません。ヒット&アウェイです。
FX投資を例に説明します。
一般にFXは危険な取引、博打みたいなものといわれることが多いのですが、実はそんなことはありません。薬と一緒で用法、用量により、良い効き目が出たり、毒のような効き目が出たりする効用があります。扱い方次第です。良い心がまえで扱えば良い効き目が出てきますし、悪い心がまえだと、よくない効き目がでてきます。
1回のFXトレードで大きなヤマを当てようとするのではなく、通常のビジネスのように、確実に小さな利益を積み重ねていくトレードが資金管理トレードです。
たとえば、トレードで「買い」でエントリーして、ある程度の利益が出てきたら、利益を半分確定します。同時にストップロスオーダー(自分の予想に反して相場が突然反対方向に動き出してしまった場合に備えて、損失を限定するために行う、強制的に取引を終了させる注文のこと)を、買値よりも高い価格に移動します。すると、このトレード(取引)は利益が出ることが確定した安全な取引となります。
残りの半分はうまくいけば、もっと利益が増えるかもしれないし、わずかな利益で終了になるかもしれません。いずれにせよ、この場合は利益が確定している安全な取引です。
このような安全な取引を、小さく、数多くこなします。
普通のビジネスとあまり変わらないですよね。このように博打と世間で呼ばれているFXでさえ、安全に確実に利益にできる〝仕組み〟があるのです。
そして、逆に損失になった場合、少しだけの損失を確定させて撤退します。
最も重要なことは、トレードを始める前に負けた場合、いくらの損失を被るかを把握しておくことです。最大損失許容額を確定しておくのです。そうすれば、仮にトレードで負けた場合でも自分の想定の範囲内に負けを抑えることができ、安心してトレードができます。
そして、一回ごとのトレードにこだわるのではなく、回数により、月間や年間での利益の額を重視します。〝この仕組み〟が資金管理により利益にする投資です。
しかし、FXトレードで利益にできるかどうかハッキリしたことは、実は誰にもわかりませんから、利益になる確率が高いときだけ、トレードするかどうかを検討します。いわゆる、「リスク(不確実性):リワード(報酬)=1:2」という法則です。
リワード(報酬)がリスクの2倍以上あるトレードができるときだけ、トレードしてあげるかどうか検討するという考え方です。ちょっとだけ上から目線です(笑)。チャンスのときだけ、少しだけリスクをとり、取引をして利益をいただきます。その利益を少しずつ、数多くのトレード数で積み上げます。一度の取引で大きく利益を取るのではありません。少しずつ、数多くがポイントです。
重要なのは、どれだけ手持ちの資金を残せたか、増やせたかです。大きく儲けても、次のトレードでさらに大きく負けてしまっては意味がありません。大きく負けないことが手持ちの資金を増やし続けていく肝になります。つまり、小さく負ける技術が重要です。
投資は確率のゲームなので、すべてに勝ち続けることはありえません。どんな天才でも、いつかは必ず負けるときが訪れます。ですから、いつ負けてもいいように備える、始める前に負けた場合の最大損失許容額を決めておく――その負けを小さい負けにする投資が、資産を増やせる投資です。市場には管理できるものと、できないものがあります。外国為替の価格がどう動くかは誰にもわかりません。管理できない領域です。管理できない領域での勝負にこだわりをもってはいけません。無意味なことです。管理できるものに注目しましょう。
管理できるのは、自分の行動です。利益や損失を確定するタイミングや金額、許容できるリスクの大きさなどです。管理できる領域での勝負が成功できるかどうかを決めるのです。資金管理が守りではなく、攻撃そのものと言われる所以です。これはすべての投資に共通する考え方です。
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